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時を刻めない時計

真夜中の暗い部屋

いつもあなたと一緒にいたのに

今は私一人

この間まで楽しく明るい部屋だったのに

今は私独り


テレビもつけないで部屋の明かりもつけないで

まだあなたの温もりがある冷たいベットに座っている

何処を見ているわけでもなく

何処を見ているかもわからない


ただ時計が進む音だけが私に入ってくる

カチッ カチッ

普段なら気づかない音なのに

私の中に刻んでゆく


カチッ カチッ

あなたの笑顔が浮かぶ


カチッ カチッ

あなたの優しい顔が浮かぶ


カチッ カチッ

あなたの怒った顔が浮かぶ


カチッ カチッ

あなたの困った顔がうかぶ


あなたが買ってくれた小さな時計

時計は当たり前のように音をたて時を刻み続ける



ねぇ どうして

ねぇ どうしてこうなってしまったの



真夜中の暗い暗い部屋

いつもあなたと一緒にいたのに

今は私一人

この間まで楽しく明るい部屋だったのに

今は私独り


テレビもつけないで部屋の明かりもつけないで

今は私だけの温もりがある冷たいベットに座っている

いつのまにか暗闇にも目が慣れ

いつのまにか小さな時計を見ていた


同じ所を繰り返し秒針が進めない時計

カチッ カチッ

電池が切れ時を刻めない時計

一秒先に進めない時計


カチッ カチッ

自然と涙が零れてきた私


カチッ カチッ

自然と手を握ってしまう私


カチッ カチッ

自然と肩が震えてきた私


カチッ カチッ

電池を代えれなかった私


あなたが買ってくれた小さな時計

時計は時を刻むのを止め音だけを響き渡す


お願いだから

お願いだから時を刻んでください


カチッ カチッ

この時計があなたと重なる


カチッ   カチッ

電池を代えれば時を刻むけど


カチッ    カチ

電池を抜いた瞬間に・・・・・・


カチ     カチ

あなたの時も止まってしまいそうだから


カチ     カッ

少しでも少しでもあなたの時を過ごして欲しいから


カッ      カッ


カッ        カ






あなたの声で私の名前を呼ぶ声が聞こえた


暗い暗い部屋で私は独りになった


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