表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

再会

 それから、ふたりはいつでも一緒でした。列車に乗ってどこへでも旅したのです。


 ふたりは、列車に乗ってずっと旅をしています。どこまでも、どこまでも……。


 そうしている内に、雪の降る寒い北国の誰もいない駅のホームで、レフは病気になってしまいました。


 レフはどんどん元気がなくなってゆくのでした。


「レフ……、死なないでおくれよ」


「心配しないでくれよ。それよりもロマン、今まで僕の自分勝手な旅に付き合わせて悪かったね……」


「レフ……、何を馬鹿なことを……」


「だって、君は家で家族に愛されていたのに、一緒にこんな野良犬になっちまってさ……。僕なんかの為に……」


「そんなことはないよ……」


「人間は僕たちを裏切るよね……」


「そういうものなのさ……」


「でも、僕はこうして死んじまっても人間たちは何とも思わないんだね……」


「レフ……」


「なあ、僕たちって何なんだろうなぁ。こんなに愛されていないことが悲しいなんてね……」


 レフはだんだん目が虚ろになってきました……。


「なぁ、レフ……」


「………」


「レフ……」


 ロマンは何も語らなくなったレフにずっと寄り添っていました。ロマンは涙が込み上げてきて、どうしようもありませんでした。


「レフ……」


 返事はありません。


「レフ……」


 返事はありませんでした。


 それでもロマンは、ずっとレフに寄り添っていました……。


 いつまでもいつまでも寄り添っていました……。


 そして、いつの間にか、雪は止んでいました……。


(レフ……)


 ロマンは、ある日、目を疑いました。


 死んでしまったと思っていたレフが、ロマンを見て微笑んでいるのです。


「やっぱり僕たちは一緒なんだね……」


 ロマンはそう言いました……。






                  了



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ