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[それぞれ]
秋という季節、悲しみの季節
俺は秋が好きだ
でも、この季節になると思い出すことがある...
彼女があの時に残していった言葉は何なのだろう
しかし彼女の言葉に、俺は答えた
それが嘘にならないように、彼女を裏切らないために
その言葉だけを信じて
そして、もう一度のために
秋という季節、どこか寂しな季節
私は秋が好きだ
でも、この季節になると、毎日同じ夢を見て泣く
その夢は、どこか懐かしく...どこか切ない...
まるで誰かの記憶のような夢
あの人は誰なのだろうか
楽しげに私の横で笑う彼は、いったい誰なのだろうか
彼が実在する人ならば
彼に会って話してみたい
{彼女に出会う矛盾}
秋が来た
「俺が好きな季節だ。。。」
少しキザな俺の親友、平泉遼が言った。
俺も嫌いな季節じゃない。
秋の匂い、道路脇に落ちている枯れ葉、風に流され葉が舞う
葉が風に乗り行進する、俺たちが歩く道を、音を立てながら楽し気に...
秋が終わるにつれて、冬の気配が顔を出し、秋が終わると悲しみ始める。
少し寂しくて、どこかせつない季節。
少し間が開いて、遼が言う「山に映る雲の影を見てると、俺生きてるな~って感じるよ」
そんな臭いセリフを言って、ノートに目を移す。
俺は少し笑って、窓の外に目をやった...
(確かに共感できるかも...)そんなことを思いながら、俺もノートに目を移した。
授業が始まる本鈴のチャイムがなる、みんな席に着き号令をかける。
退屈な授業、みんな気だるそうに、黒板に書かれたことをノートに写している。
俺も少しだらけた後、写し始める。。
寮「もうすっかり秋だな、肌寒い...」
遼は授業中に、授業のことを気にもせずに話しかけてきた。
海「そうだな」
俺は軽く返事をして、ノートを書き始める。
寮「なんだよ、冷たいなぁ...」
少し拗ねながら、遼は言った。
俺は立花海、17歳、好きな季節は秋、趣味は音楽鑑賞と読書、今ハマってるのは...特にないかな。。
俺は恋をするのが怖い、というか、人を好きになるのが怖い。
なぜか?簡単に裏切られて、嫌われ、捨てられる。
最後まで愛しても、届かない。
ずっと一緒なんて、届かぬ願いなのだから。。。
そう思ってしまう。
授業が終わる。
みんなが気だるそうに授業を受けていたのは、それが終われば放下になるからだ。
帰りのショートホームルームが始まり、みんなの早く帰らせろという声が、今にも聞こえてきそうなくらいイライラしている。
それに気がつかない先生は、淡々とショートホームルームを続け、終わらせる。
みんなが帰り始めたころに、クラスメイトの西川龍人に呼ばれる。
(嫌な予感だ)
俺の予想は当たっていた。
龍人「図書室に仕事を手伝いに来て!」
と、龍人は言った。
(ほら、当たった)
海「なんで!?」
俺は声を荒げて言った。
龍人「人が足りないんだよ~」
と、持ち前のアホ面で。
呆れながら
海「なんで俺なんだ、他当たればいいだろ!?」と、言った。
龍人「お前暇そうだし、昔からの付き合いだろ!」
(こいつは俺をなんだと思ってるんだ)
昔といっても、龍人との出会いは中学の頃だ、それほど昔でもないし
過去のことを、昔といえるほど生きてない
海「あぁ...分かったよ!やれば良いんだろやれば!!」
こうして渋々図書室に行くことになってしまった。
龍人とだべりながら、図書室に向かった
俺は本が好きなので図書室は意外と好きだ、それだけの理由だけではないが、
図書室の独特な雰囲気、本の匂い、静かな空間...。
図書室の扉を開ける
「こんにちは~」と、龍人は挨拶をしながら入っていっていった
俺も挨拶をして図書室に入った
図書室にいた先生が
「こんにちは」と、短く返す
次に、本の貸し出し机のほうから声がした
知らない声だった
「龍人先輩仕事しに来たんですか?珍しいですね...」
龍人「おう、にしても夏木がいるなんて珍しいな~」
体をすり抜けていくかのような、透き通った声だった...
カウンターを覗いてみると、そこには一人の女の子が座っていた。
綺麗な髪の毛、吸い込まれてしまいそうな瞳
座っていてもわかる小柄な体格。。。
桜夏木というらしい
彼女を見た瞬間、自分の世界が一瞬にして変わった
秋という季節から、春という季節に...
部屋は桜色に変わった。
春の優しく暖かい空気に包まれ、体がまるで宙に浮くように
その気持ちはどこまでも果てしなく続くような...
そんな気持ちになった。
でも、人を好きになることが怖い、彼女に近づくことはいいことなのだろうか?
結果は見えているし、どうせ彼女も俺を好きにならないだろう...
俺は彼女をスルーした
すると彼女は
夏木「そちらの先輩は...龍人先輩のお友達ですか?」
と、彼女は俺の気持ちなど全く知らない口調で言う
まぁ、そりゃそうか。。。
海「あぁ、そうだよ」
俺は少し彼女を遠ざけるかのようにそっけなく返す
龍人「こいつは、海っていうんだ!立花海!お前そんなそっけないと嫌われるぞ!!」
またアホ面で言われた...
夏木は少し笑って、すぐに真面目な顔に変わった...
まるで何かを見透かしたかのように質問してきた
夏木「こんな私に言われるのは嫌かもしれませんが、なにかお辛いことでもあったんですか?」
息が詰まった。。。
少し間をあけて俺は言った
海「別に何もないけど...気を使わせて悪い」
夏木「そうですか、ならいいんです」
夏木はそういったが納得していないようだった。
龍人が割って入ってきた
龍人「さぁさぁ、お喋りもいいですけど!仕事しますかぁ~」
海「あぁ...」
と、俺は短く返した。
夏木も手が空いているということで、彼女も仕事を手伝うことになった。
3人での作業は早かった、俺は作業中に夏木にかかわらないようにした。
俺の気持ちは矛盾していた、人を好きになるのが怖いと言ったのに一目惚れしてしまっている...
(何をやってるんだ俺は)
心の中でそう思いながら、彼女を避けつつ作業をしていた
途中で彼女が話をかけてこようとしても、すぐに別の場所に移動したり、
彼女に話しかけるすきを与えないように、図書室の先生と本の話をしたり...
そんなことをしながら何とか作業を終えた。
図書室の先生が
「お疲れ様~」と、言い
お疲れ様ですと3人でいい図書室を後にした。。。
俺はすぐさま早歩きでそそくさと下駄箱に向かった。
しかし、彼女に呼び止められた
夏木「先輩、どうして避けるんですか?なにか癇に障ること言いましたかね...」
海「いや、なにも言ってないよ。頼むからほっといてくれ。」
言ってしまった...
確実に彼女に嫌われたであろう、俺は後ろを振り返らずに、さっきと同じ速度で歩き出した。
すると後ろから
夏木「なにがあったか、わかりませんが!絶対ほっときませんから!!」
大きな声で、はっきりと。
うれしくはあった、同時に悲しくもなった...
悲しさの方が上回った。
俺はどうすればいいのだろうか。
秋に包まれた帰り道を、秋の風に流されながら俺は歩いた。。。
いかがでしたでしょうか、初めての作品になります。
おかしな点はいくつかあると思います...
ぜひアドバイスください。
マイペース投稿になると思いますが、今後ともいぬをよろしくお願いします。