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モノクロの世界に

作者: りんごうめ

初投稿です。

ずっと私はモノクロの中にいる。


昔、事故のショックで視界から色が消えた。

色のない世界は退屈で、高校生になった私にはつらいものだった。

友達と同じものが見えない。

共感ができない。

私はいつも一人だった。

色がほしい。それさえあれば私はどんな大切なものも手放す。

そう思うほどに強く強く願った。


ある日、彼に出会った。

バカでこんな私にちょっかいかけてくる変なやつ。

うっとうしくて、うるさくて、

でも嫌いではなかった。

モノクロの夕焼けも彼と一緒に見るとその光景が目に浮かんで綺麗に思えた。

心が温かくなった気がしたのだ。

でも恥ずかしいから私は嫌っているふりをしていた。


初めてふたりで帰った日。

私は内心浮かれていた。

踏切の警告ランプが赤く光っていることに気づかなかったのだ。


目の前にはもう電車が迫ってきていた。


ドンッ!!


その時“あか”が私の目を染めた。

体に痛みはなかった。

“あかいろ”の中に彼はいた。

「なんで・・  」

私は色が欲しかった。

「どうしてっっ!!」


彼と見ていた夕焼けもこの街も彼の顔も全て。


ちがう、私はそうまでして

“いろ”が欲しかったわけじゃない。


誰かが呼んでくれた救急車の音も叫んでいる人々の声も無音に思えた。


私はひたすら願った。


“色”なんていらないから

   もう何もいらないから

    

  彼を・・・


  “彼を助けてください”



 __________________________




気がつくと私は白いベッドのそばにいた。

視界には見慣れたモノクロの世界が広がっている。

私は彼のことを思い出し、あわてて顔をあげた。


「あっ・・」

生きていた。

温かい“はだいろ”の肌にふれる。

目頭が熱くなって、泣きそうになる。


モノクロの世界に“いろ”が咲いた。

暖かくやわらかな“いろ”が彼にはあったのだ。


「好き」


彼にそう囁いた。



読んでいただきありがとうございました!!

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― 新着の感想 ―
[一言]  他人にとって当たり前であればあるほど、自らを卑下する要素になるのかもしれません。
2016/11/18 09:41 退会済み
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