出撃!内閣府直轄対超常現象対策特別実働部隊第一班スイーツ隊 第一話 スイーツ隊出撃! Aパート③
次の日、私たちは1200くらいに起きた。というのも、最終的に朝の0500くらいまで起きて騒いでいたのだから、当然と言えば当然だ。さて、お昼時に起きた私たちは昨日の帰りに買っておいたファストフードで朝ご飯兼お昼ご飯にし、それからまた街へと繰り出した。結構出かけてばっかりだが、出撃や演習があらかじめ予定されていない日は大体こんな感じだ。行き先も東京の方へ出たり、関西、果ては沖縄まで足を延ばすことがある。今日はそこまで遠くには行かずに、汐入のヴェルニー公園のあたりを散策することにして5人で歩いている。
「風が気持ちいいですねぇ」
「ほんと」
アイスとアズキがデッキに立って気持ちよさそうに風を浴びている。潮の匂いがして暑くもなく寒くもなく。ちょうど心地いい。ヴェルニー公園からは米軍基地が見えたり旧日本海軍の軍艦の碑があったりと、見るとこには欠かさない。他にもいろんなん花が咲いている。ゆっくり散歩するには悪くないとこだ。
「ふむ、今日いるのは第一護衛隊か」
「奥には練習艦隊も見えますよー」
ムースとプリンはここから見える護衛艦を見ている。しかし、練習艦隊がいるとは。今日は運がいいな。
そんなみんなを見つつ、私はぐでーといった感じでベンチに座っている。いや、なんとなく気が抜けてな。少しすると、満足したのか、アズキが私の隣に座った。
「のどかだなぁ」
「うん」
さすがに公共の場だからか膝の上に寝っ転がってはこないものの、私に寄りかかる。私がぼーっと海を見ていると寄りかかったアズキからすーすーという寝息が聞こえてきた。まあ、あったかい良い気候だ。つい寝たくもなる。
「むぅ、あれだけ寝たのに寝たりんか・・・」
アズキに影響されたのか、そう呟いた私は気付いた時には夢の中の世界へと飛び立っていた。
それからしばらく経った後。時間にして1630。そろそろ日が落ち始めるかという時に私はポケットに入れておいた通信機(見た目はスマホ)の呼び出しで目を覚ました。ったく、人がせっかく気持ち良く昼寝していたというのに。どこのどいつだ。
「はい、こちら涼月」
「ああ、涼月。私だ」
くそっ、上司か。
「ご用件は何でしょうか」
こんなやつと長く話しているのは御免なので、さっさと用件を言ってもらおう。少しでも長引くと、また無理難題が降ってきかねない。
「緊急出撃だ。sh」
「了解しました。詳細はデータで送ってください。私たちはすぐに基地に向かい出撃します。では」
出撃ということを聞いた私は、余計なことを言われないうちに強制的に通信を切る。あとは何か来ても、気づかないふりをすれば無理難題を言われる心配もない。
「もう少し寝ていたかったが、仕方ない。おい、アイス。出撃だぞ」
いつの間にか私の膝に座ってお昼寝をしていたアイスを起こす。
「ふわ・・・、わわっ、わかりましたっ!」
目が覚めて私の言葉を少しかけて認識した後、アイスは私の膝の上から飛び降りた。
「ムースとプリンも、聞こえていたな」
「ああ」
「聞こえてますよー」
よしこれで後はこいつだけか・・・。
「まあ、こいつはキャラメルにでも乗せれば起きるだろ。とりあえずはいつも通りに担いで行くか」
左肩にアズキを担ぎ上げ、他の3人を連れて米軍基地のゲートへと急ぐ。場所の関係上、私たちの基地に出入りするには、米軍の敷地に入らざるをえない。まあ、入るのに必要な身分証関連は常時携帯しているから問題なく入れる。最近はゲートの人とも顔見知りになったしな。
ゲートをくぐった後は歩道を基地関係者の邪魔にならないようにしつつも、全力で基地へと走る。
基地に着くと、すでにキャラメルの準備が整っていて、滑走路に駐機されていた。武器もある程度は基地に保管しているので、そちらの心配も無い。すぐに操縦席にプリンが飛び乗り、私たちは後部の座席に座り離陸を待つ。プリンが管制塔や整備員と幾らか交信した後、キャラメルが離陸する。その時の爆音でようやくアズキが目を覚ました。はいはい、不機嫌な顔しない。
「よし、ムース。状況の説明を頼む」
「了解だ!」
ムースの状況説明を聞きつつも、キャラメルで目標地点へと飛んでいく。