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出撃!内閣府直轄対超常現象対策特別実働部隊第一班スイーツ隊 第二話 相手はサキュバス!? Bパート

さて、私が今いるのは羽田空港。海上保安庁第三管区羽田海上特殊救難基地がある建物の隣。海保の格納庫とビジネスジェットの駐機地区の間にある格納庫。ここに私たちが使う機体の格納庫になっている。とはいっても、今まではVBX-005キャラメルだけが格納されていただけだったんだけども、今日からは別の機体が加わる。

機体名ECVA/BX-006スイート。(あ、ここから壮絶な機体語りが始まるから、興味ない人は次のーーーーーのとこまで飛ばしてね♪)


もとにしたのはV-22オスプレイに始まるティルトローターやティルトシップ機。垂直着陸と航続距離や速度を両立させようとした機体。これをもとにエンジンをターボプロップからターボジェットにすることで完全な垂直着陸と通常離陸をどちらでも行えるようにしたうえで、垂直離着陸の推力を稼げるようにエンジン機数を増強。主翼端に2基、主翼中程に2基、尾翼端に2基の6発ティルトローターに。最新機能を取り入れたのもあり、フライバイライト、フライバイワイヤ、油圧の三系統を備え、人工知能を活用したシステムも内蔵されている。

エンジンは推力に優れたF135かIzeria30。F135はステルス戦闘機F-35に搭載されているもので、Izeria30はロシアの最新鋭戦闘機Su-57に搭載されているもの。混載はできないものの、どちらのエンジンを積んでも飛行可能なように、エンジン回りは設計されている。

機体サイズはP-1哨戒機より一回り大きいくらい。その大きな容量を生かして、多彩な装備を積み込んだ。

機体接頭辞のEVCA/Bの順に解説しよう。

まずEの通り、電子戦が可能になっている。機体全体に張り付けられているアクティブフェーズドアレイレーダーや空中電子線を使うことで、電子戦が可能になっているだけではなく、早期警戒管制すら可能にしている。

次にVは垂直離着陸機であるオスプレイの接頭辞をそのままつけている。

次のCの通り、機体後部にカーゴドアを備え、コンテナや各種物資、車両にいたるまでなんでも輸送することが可能である。またティルトローターを生かし、ヘリコプターのように機体下部に規格外物資を懸架して輸送することもできるようになっている。

最後にA/Bだが、まずAから。機体後部左側。そこには戦車砲、対空砲、ガトリング砲か顔を並べている。戦車砲は10式戦車砲か、ロシア最新戦車T-14に搭載されている125mm滑腔砲2A82-1Mを搭載することを前提にしており、対空砲はアメリカのボフォースの57mmかロシアのZAK-57 57mm対空砲を、ガトリング砲はアメリカの機首と同軸アヴェンジャーことGAU-8か、ロシアのパーンツィリなどで使われている2A38M連装機関砲を選択して取り付けられるように設計されている。主に作戦地域での弾薬の入手性を考えて、作戦ごとに選んで選択できるようになっている。

他にも、/Bのように、西、露、欧の主要なミサイルや爆弾などは主翼下に懸架できるようになっているほか、機体中央部に爆弾層があるので、そこに魚雷や爆雷などを搭載することも可能。

接頭辞にはついていないが、空中給油キットを装着すれば他機への空中給油も可能であるほか、MADやソノブイ投下口も装備しているため、対潜哨戒も可能である、一機に詰め込めるだけの要素を詰め込んだ浪漫機体になった。

更に艦載機としても使えるように、アレスティングフックを備え、カタパルトにも対応していて、受油装置もフライングブームとプローブアンドドルーグの両対応という浪漫っぷりである。

その分お値段も張り、二番機以降が生産されることはないだろう・・・という結果になった機体である。

ちなみにコックピット配置は計器が多すぎるのもあってタンデム配置で、前が操縦席、後ろが電子制御席となっている。

次に機体内部の話をすると、コックピットからそのまま搭乗口、居住スペースとつながっている。私たち以外使う予定もないからこうなったようだ。居住スペースには電気調理具や休息スペース、睡眠スペースが備わっていて、普通に生活することも可能になっている。搭乗口にはYS-11のような、機体備え付けのタラップが収納されている。

開発期間うん十年、開発にかかわった企業うん十社。かかった費用ぷらいすれす()。


閑話休題それはさておき

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まあとにもかくにも、試験飛行も終了し私たちの戦列に加わったスイート。今日はそれのお披露目で羽田空港まで来たのだ。

外見をぐるっと見て圧倒された私は、コックピット後ろの搭乗口から、機体備え付けの折り畳みタラップ(YS-11みたいなのだった)を使って機内に乗り込む。

入るや否や、アズキが奥に進み、仮眠スペースに入った。どうやら寝心地を確かめるんだろう。

プリンとムースはコックピットに入り、各種計器の場所などを確かめている。コックピットから飛行、武装の制御が全て行えるよう機器がたんまりと置かれており、ほぼプリンとムース専用となるだろう。いや飛ばすだけなら私たちでもできるのかもしれないが、十全に使いこなすのは無理だろう。

アイスは居住スペースにあるキッチンの中をチェックしている。

さて、私はやることもないので、機体の中を隅々まで見た後、居住スペースでのんびりとしていることにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そんな感じで私がのんびりしていると、機内放送でムースに呼び出された。半分寝落ちていた私は口から垂れてた涎を服の袖で拭いつつ、コックピットに入る。

「何かあったの?」

「芦ノ湖湖畔に変な反応らしい。何かの能力を使っているような反応だが詳細不明。ちょっと行ってみてこいと」

・・・箱根ねぇ。それなら、キャラメルで行ったほうがいいかな?

「で、ついでにスイートの試験飛行兼ねてそのまま行ってきていいとのことだ」

ほう。それなら、このまま行ってしまうか。

「にゃ、了解。じゃあムースは各種機関に連絡。プリンは機体の準備ね、よろしく」

指示を出した私はキャビンに戻ってアイスに出撃することを伝えておく。さて、後は寝坊助か。

「アズキ、起きなさい」

ゆさゆさとベッドに寝ているアズキを揺さぶる。今日は珍しくそれでも起きず、だんだん激しく揺さぶっていく。

「ほら起きなさいって。出撃するよ?」

だんだん面倒になってきた私は、そのまま肩にアズキを米俵のように抱え、キャビンにある椅子に放り投げる。

「ぐはっ・・・」

その衝撃でたたき起こされたアズキは目をこすりつつ、こちらをにらんでくる。

「さっさと起きないあんたが悪い。とりあえず出撃だから、早く準備してらっしゃい」

それだけ言い、私も出撃に向けて準備に入った。とはいっても、これと言ってやることなかったりもするけども。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「羽田グランド、JA000A。スポット000。リクエストタキシング」

「JA000A、羽田グランド。タクシートゥランウェイゼロフォー」

ムースが交信する声がこちらまでも聞こえてくる。移動許可をもらったスイートはジェットエンジンをふかしつつ、滑走路へ向けてゆっくりと進んでいく。

「JA000A、羽田タワー。ランウェイゼロフォー、クリアードフォーテイクオフ」

「クリアードフォーテイクオフ、JA000A」

優先するように連絡が言っていたのか、一番近い滑走路からの飛行許可が即座に降りた。滑走路に入ったキャラメルはエンジン全開にして滑走を始める。

「V1、ローテート、V2・・・」

プリンの声が聞こえると同時に、機体がふわっと浮かび上がる。このまま管制の指示に従い、一気に箱根上空まで無事に飛んで行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


箱根上空についた私たちは機体を左旋回しつつ、モニターや窓から見える景色を見て不審なとこがないかを探す。と、芦ノ湖畔から少し離れたところ。スカイラウンジという名前がついている建物付近で、陽炎のような揺らめきを感じた。

「ムース、モニターでとらえてるこの辺り、スキャンお願い」

ムースに何か能力を使っているかを判別する装置で上空から走査してもらうと、ビンゴだった」

「モナカ、間違いない。何か行われてる!」

そうとなればあとは降りて確かめるだけだけど・・・。さて、どうしようか。

「アズキ、アイス、私と一緒に降下。プリンはこのまま旋回、ムースは後方支援お願いね」

それぞれの役割を決めた後、アズキ、アイスを連れて機体後部に向かう。空飛ぶ砲兵ことガンシップと同じように砲などが備え付けられた区画を抜けると、輸送機と同じような構造になってるカーゴ区画に出る。

そのまま壁のボタンを押すと、カーゴドアが開き、冷たい風が機内に流れ込んでくる。まあつまり。このまま低高度からの空挺降下しようというわけだ。

「いくよ、アズキ、つかまって」

「・・・うん」

「じゃあ、私はモナカさんに続きますねっ」

私の背中にアズキががしっっとつかまり、両手両足でホールドしてくる。そのままアズキを背中に引っ付けたまま、カーゴドアからジャンプし、数秒後にアイスもカーゴドアから飛び出してくる。高度3000mから降下して高度500でサイコキネシスを、アイスは飛行能力を使って減速、そのままふわりと着地する。

「アズキ、もう降りて」

地面についても離れようとしないアズキをひっぺがし、そのまま周りを見渡す。

「何か変なとこ、特にないですよねっ?」

アイスの言う通り、変なとこは見当たらないが・・・。でも反応は出てた。なら、どこかにいる。

「アズキは後衛。アイスは私の隣。建物に入ってみよう」

周りを見渡して何もないなら、建物の中にいるのかもしれない。総当たりを付けた私は二人と一緒に建物の中へ入っていく。

建物に入ると、二階に人の亀背がした。そのまま階段を上がり二階に入ると、カフェみたいになっているところがあり、そこに人がいた。

「ようやく来ましたか・・・。結構待ちましたよ?」

その人は持って以下カップをソーサーに置き、椅子から降りてこちらに向かってくる。

頭に山羊のような角、豊満な体、背中から見え隠れするスペードの形をした尻尾、そして紐みたいな大事なとこだけを隠す水着みたいな恰好。サキュバスか。

「私たちを待ってたってこと?」

私がそう返すと、そのサキュバスはこちらに向かってにっこりと笑う。

「ええ、お待ちしていました。あなたと話がしたくて」

少なくとも、今はまだ敵と判断ができない。会話しつつ、敵なのか何なのか探らないと。

私は後ろにいるアズキにハンドサインで待つように言い、警戒はしつつもゆっくりとサキュバスに近づいていく。

「まずは自己紹介からいたしましょうか。私はワイン・ファントム。パラノーマラーという組織の一員です」

優雅にお辞儀するワイン。なかなか同に見合っている。

「私は秋月モナカ。色々聞きたいことがあるんだけど、まずあんたはここに何をしたの? それからパラノーマラーって何?」

「ええ、お答えいたしましょう。まずここには幻惑を張らせてもらいました。とはいっても、みんなここを素通りするようにしただけで、他に害はないものですが。それから、パラノーマラーは私のような人ならざる者が集まった組織。まあ互助会みたいなものですわね」

ご、互助会・・・。互助会って言われると、組織というよりもなんか気軽な集まりみたいなイメージが・・・。

「で、その集まりが私に何の用?」

「あなたたちも人の姿をしているとはいえ、能力を使えるという普通の人とは違う存在。であれば、私たちの組織に入ってほしいと思いまして」

「つまり、勧誘に来たってこと?」

「まあそうなりますわね」

勧誘するためだけに幻惑なんて大規模なものをやったの? なんか裏がありそうなんだけど・・・。

「まあ入るにせよ入らないにせよ、一度持ち帰らせてほしいんだけど」

「いえ、できればこのままいらっしゃってほしいんですよね」

そういうと、ワインの後ろから靄みたいなものが出てくる。

「まずは、眠りなさい」

ワインがそう言うと、同時に目が赤く光り、私の後ろからどさっと人が倒れる音がした。振り返ると、アイスとアズキが倒れている。ぱっと見呼吸はしているし、アズキがいつもの寝顔をしているので、寝ているだけだと思う。

「何を・・・」

私がにらみつけると、ワインはにやっとした笑みを浮かべた。

「眠くなる幻惑をかけたのですけども・・・あなたには効きませんか」

「私たちに手を出すというのなら、あなたは私の敵だ」

私が意識を戦闘モードにして構えると、ワインは背中の羽をぱたぱたと動かし、軽く浮き上がる。

「やはりあなたがとてもほしい。力ずくでも手に入れましょう」

口元に手を当て、妖艶にほほ笑むワイン。それをにらみつつ、とびかかるタイミングを見る私。箱根の地でバトルが始まろうとしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁっ!!」

掛け声とともにワインに殴りかかる。サイコキネシスを使い、自分の背中を押すようにして威力を上げる。その攻撃はワインが横に動くことで避けられる。むぅ、ただ一直線じゃダメか。

「直接戦うのは得意ではないので、搦め手で行かせてもらいますね」

ワインが手を振ると、その場に竜巻が起こる。本当に竜巻が起こったかのような暴風が私を襲い、砂ぼこりで目を開けていられなくなる。

おかしい、これは幻惑のはず。なのに実際に風が来ているように感じる。なら・・・!私はいつも隠している左目を覆う髪をピンでとめ、両目でワインを見る。すると、さっきまで感じていた竜巻が消え、ワインをはっきり見られるようになった。

「あらあら、これも破られますか。結構力を注いだのですが」

くすくすと笑う彼女になんかイラっと来る。

「では、これはどうでしょう?」

そうワインが言うとともに、ワインの体が次々に分身していく。そして私の周りを何人ものワインが埋め尽くす。

『どれが本物か、わかるかしら?』

にっこりとほほ笑むワイン。私は器用なほうじゃない。だから、また見破れないのなら、もう一段ギアを上げて力技で突破するのみ!!!

私が気合を入れると、両目が金色に光り、全力になる。その状態でぐるっと見渡すと、私の斜め後ろ。一人だけ陽炎のように揺らめいているワインが見えた。

「そこかぁぁぁ!!!」

そのワインに向かってその場で振り向きざまにパンチするように腕を伸ばす。その腕の先からサイコキネシスで風の弾を作り、ワインに飛ばす。

「ぐあああああっ・・・」

その風の弾がお腹にクリーンヒットしたワインは後ろに飛ばされ、壁に当たって崩れ落ちる。

「っ、はぁはぁ・・・。これも見破りますか・・・」

一撃で致命傷を負ったようで、口から血を流している。直接戦うのが得意じゃないのは本当なのかもしれない。

いやその前に、そんな大事なとこしか覆ってない水着みたいな服じゃなくて、ちゃんとしたの着ればもっと防御力は上がるような・・・いや、深くは考えるまい。

「で、次は何を見せてくれるの?」

軽く挑発しつつ問いかけると、ワインは残念そうな顔をした。

「いえ、さっきのが私の全力でしたので・・・どうしましょう?」

いやどうしましょうってこっちに聞かれても・・・。

「とりあえず、このままあなたをさらうことはできなさそうなので、今日はお暇させてもらいますね」

優雅に礼をするワイン。いやこのまま行かせるか!!

「逃がすかぁ!!」

そう叫んでとびかかろうとすると、どこから出したのかグレネードをこちらに放ってくる。慌ててサイコキネシスで外に飛ばそうとしたとき、グレネードが起爆して煙が充満する。

サイコキネシスで風を起こし煙を外に出すと、ワインの姿はどこにもなく、私はあっさりと逃げられたことに臍をかんだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私が眠り続けているアイスとアズキを肩に担ぎ外に出ると、無線機からザーザー音がする。

「・・・モナ・さ・・・」

「ムース?どうしたの?」

「よかった。建物の中で戦闘しているのは観測できたんだけど、無線が通じなくて。アイスもアズキも応答なくてな・・・」

「二人は眠らされたけど無事。敵は逃走。とりあえずスイートに戻りたいんだけど・・・」

「了解ですー。ホバリングしてるので、飛び乗ってくださいー」

上で周回していたスイートがエンジンの角度を変えホバリング。後ろのカーゴドアから二人を抱えたまま大ジャンプで飛び乗って、カーゴドアを閉め、そのままの足で居住区画のベッドに二人を寝かせる。

「よし、じゃ帰ろうか」

プリンの操縦するスイートはそのまま羽田空港に戻り、横須賀へ無事に帰ってこれたが・・・。

パラノーマラー、厄介なのに目をつけられたようだ・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次回予告

ワインにいいように眠らされたアズキとアイス。

二人はいざというときに役に立てなかったのに責任を感じ、酷く落ち込んでいた。

そんな時、突然モナカが海への旅行を提案する。

旅行に来たスイーツ隊の面々は、海で思いがけない人たちと出会う。


次回、見つめあっても素直におしゃべりできた


そのうち書くと思います。

スイートの型式番号など、色々そのうち直すかもしれません


3話以降は、このまま書き続けたいなとは思っているので、気長にお待ちください。

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