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短編小説・心理攻防戦

作者: 日徒

不思議な短編小説です


お時間ありましたら読んで頂けたら幸いです!


困った。


本当に困っている。


どのくらい困っているかは状況を説明しなくてはならない。


ショッピングを楽しんだ後、泊まる予定であった友人と一緒に自宅に戻った。


今はベッドの上で借りてきたDVDを鑑賞している。


ジャンルはホラーだ。


全然怖くないのだが、何となく叫んだりしてみている。


困っているのは、こんな事が理由ではないのだ。


ベッドから少し離れているテレビ。


ホラーを借りてきた事もあり画面が暗くなる事も珍しくない。


画面が暗くなると薄っらだが鏡のように写る。


勘の良い人ならば気づいたであろう。


…………………そう。


ベッドの下に変な男がいる。


変な男はテレビ画面を凝視しているようだった。


つまりは画面に写る私たちの動向を監視している。


変な行動をすれば襲われる可能性が高い。


ベッドから出るのも危ぶまれた。


出来れば痛い思いはしたくないし友人に怪我もさせたくない。


私たちは二人いるので友人に知らせれば応戦は出来るだろう。


ただ危険であるのは間違いない。


友人を一人にする訳にはいかないし私も一人になる訳にはいかない。


今こうして二人いる事が変な男を留めている抑止になっている。


すぐ下にいるし監視されている訳で電話やメールを使ってしまえば捕まるよりは…と襲われる可能性がある。


携帯を使わず不自然でなく助けを求める必要があるのだ。


それもタイムリミットがある。


友人が寝てしまえば一人になってしまったのと同じだ。


まずは変な男に知られずに友人に知らせる必要がある。


という訳で私は困っているのだ。


見ているDVDは映画なので時間的には2時間前後。


もう1時間くらいは見ている。


終わったら寝ようとなる可能性が高い。


時間もないし案も浮かばない…


チェックメイト状態である。


怪我をする覚悟がなくては状況を打破するのは難しい。


しかし何の落ち度もない私たちが何故、怪我を負う覚悟をせねばならないのか…


これは奴と私の戦い。


この場を怪我なく脱出出来てこその勝利。


私は負けず嫌いだ。


戦いは勝ちたいし、勝つ為の行程も大切である。


戦いは熱くなった者が負けるのがセオリーだ。


冷静に冷静に。


自分に言い聞かせる。


すぅーすぅーすぅー


私は寝たフリをした。


変な男は動くはずだ。


私は今、寝ている。


友人しか起きていない今がチャンスだと思うはずだ。


しかし男が私たちを襲う為にはベッドの下から這い出るか、2人が乗っているベッドを下から倒す必要がある。


2人が乗ったベッドを下から倒すのは現実的じゃない。


男は這い出てくるはずである。


このチャンスで動かないならば男は気付かれないよう脱出するつもりなのかもしれない。


ザザザッ


来た!


私は薄目で武器の場所を確認する。


修学旅行でお土産に買った洞爺湖と刻まれた木刀。


「銀さぁぁああああん」


何となく叫びつつ木刀を振り降ろした。




「な、何してんの?」


呆気に取られた友人が言った。


私はポリポリと頭を掻いて返す。


「いやぁ、寝ぼけてたわぁ」


「ははは、変なの!」


ちょうど見ていた映画が終了していた。


残念ながらラストは見逃してしまったが…


DVDプレイヤーの停止ボタンを押し電源を切る。


テレビが暗くなった。


ベッドの下には誰もいなかった。


くそっ…あれか…


視えちゃいけないものか…


人騒がせな…


ホラー見てたから引き寄せられたのか。


こうして頭をフル回転させた私の戦いは勝ち負けなく終了した。


まぁ…私は霊感ないので幽霊など信じてはいないのだが。


「映画も見終わったし寝るか!」


私は友人に声を掛けた。


「うん!そうだね」


友人はニッコリと笑った。


「ねぇ、ここさ、結構いるね(笑)」


「ははは」


私は苦笑いした。


何がだよ!とは聞かなかった。


その必要がなかったからである。


読んで頂きありがとうございました!


ご意見ご感想など頂けたら凄く嬉しいです♪

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