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恋華  作者: 雫華
3/3

夢幻

桜の花と一緒に風にさらわれて

幻みたいに消えてしまいそうな

淡くはかない そんな存在───


桜吹雪の中 佇む姿は

あまりにも繊細で神秘的で

凜華は息をするのも忘れて

その姿に目を奪われてしまっていた。



「───はっ! だっ、誰!?」


我にかえった凜華は彼に尋ねた。


「………………」


彼は少し驚いたような

困ったようなそんな顔をしていた。

でも彼は無言のままで答えてはくれなかった。

そしてそのまま現れた時と同じように

桜に紛れて立ち去っていった。




(一体今のは何だったんだろう?

まさか ゆ、幽霊だったのかなぁ?)


「また会える、よね……?」






ーー*ーーー*ーーー*ーーー*ーーー*ーーー*ーーー*ーーー*ーーー*ーーー*ーーー*ーー






凜華はまだ知らなかった。

彼との出会いが

ある時以来人を信じれなくなっていた彼女を

大きく変えていくという事を

そしてまた彼女も彼を変えていく事を───




2人の出会いは周囲の世界をも巻き込みながら

狭い鳥籠の中だけで生きてきた2人を

大空へと飛び立たせるのだった













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