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ありふれた夕食
◇
……日が沈みだした頃。そろそろ夕食の時間だ。
「ご飯よー」
「「はーい」」
母に呼ばれ、二人揃ってダイニングテーブルに腰掛ける。
「はい仁奈ちゃん。あなたのお箸」
「ありがとうございます」
「それじゃあいただきます」
「「いただきます」」
今日の献立はハンバーグだ。やはり、ハンバーグにはデミグラスソースが一番だと思う。
「おいしー」
「ふふ、どういたしまして」
「母さん、手袋三重にして肉こねるからな」
「えっ、まおちん潔癖症?」
「そのほうが肉に熱がいかないんだ。一番外側は断熱材で出来てるしな。加熱前に余計な熱が加わるのはあまりよくない」
「へー、そうなんだ」
「仁奈ちゃんも、お嫁さんになったら作るようになるわよ。ハンバーグ」
「えっ! おおおお嫁さん!?」
「何うろたえてるんだ?」
「あらあら」
見てて羨んでしまうくらいに、楽しそうだ。