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ありふれてない夕食


  ◇


 ……その日の夕食。



「……まおちん、これって」

「今日の晩飯」

 食卓には、薄気味悪い緑の液体の入った食器が並べられていた。それには白米が浸されており、所々具のようなものも浮かんでいる。

「因みに、何て料理かな……?」

「カレーライス。日本の子供達に大人気だ」

「カレーって普通、茶色くないかな……?」

「ホウレン草をたっぷり使ったグリーンカレーだ」

 しかしこのカレーはルーにとろみがなく、米をスープに浸けたような状態になっている。カレーというよりは、雑煮に見える。

「少なくとも、人間が食えないものは入れてない」

 もし入ってたら、最早拷問だ。

「一応、前に調理実習で作ったら、割と好評だったんだぞ」

「え、ほんとに?」

 仁奈の疑うような視線を前に、魔緒は大きく頷く。

「まあ、最初はこの見た目のせいで、危うく廃棄物になるところだったけどな」

 一応、見た目がアレなのは自覚しているようだ。

「鉄分補給だと思って、さっさと食ったほうがいい」

「……うん」

 複雑そうな表情を浮かべる仁奈。


 何はともあれ、無事に食事は終わった。カレーの味については、ご想像にお任せする。

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