表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/27

無防備な子

「暑いぃ~……」

 床の上で伸びている仁奈。先ほど、赤いキャミソールとデニムのショートパンツに着替えたのだが、それさえも汗だくになっている。

「まだそこ掃除してないんだが……」

 一方魔緒は、水で濡らした雑巾を絞っていた。これから雑巾掛けをするようだ。

「だってぇ~、暑いんだもん」

「そんなら海にでも入ってろ」

 ここは丁度、海の真正面だ。

「水着、持って来てないもん」

「着衣水泳」

 魔緒は床を手当たり次第に拭きながらも、仁奈の相手を続けている。

「あれって結構、動きにくいんだよ?」

「我慢するんだな」

「どっちを?」

 暑いのと着衣水泳、どちらをかということか。

「自分で選べ」

 ふと気づけば、魔緒の手が止まっている。

「どうしたの?」

「退いてほしい」

 仁奈と話している内に、床の殆どを拭き終えていたようだ。残すは、仁奈が転がっている辺りのみ。

「動くの面倒だよぉ~……」

「いいから、退いてくれ」

「やだ」

 魔緒は溜息を吐くと、どこかへ行ってしまった。

「まおちん?」

 と思ったら、すぐに戻ってきた。

「こいつをやるから、とっとと退いてくれ」

 彼が持ってきたのは、氷のうだった。ビニール袋に氷水を入れただけの、簡単なものだが。

「わーい」

 氷のう片手に、小躍りし出す仁奈。

「やれやれ」

 魔緒はその隙に、雑巾掛けを終わらせる。

「ひゃ~、気持ちぃ~」

 たった今魔緒が掃除した床に、寝転がる仁奈。額には、貰ったばかりの氷のうが当てられている。

「……他の部屋も掃除するか」

 そして魔緒は、残った時間を別荘の掃除に費やしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ