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ありふれた寝起き
◇
……翌朝。本日も快晴。
「……んっ」
仁奈は身を捩り、むくりと起き上がる。
「……あれ?」
見慣れない景色。見慣れない部屋。見慣れない布団に、見慣れない寝巻き。ぐるりと目線を回していく。
「……そっか。まおちんの家だった」
そこでやっと、魔緒の家に泊まっていたことを思い出す。
「……まおちんは?」
隣のベッドを見やるが、そこに彼の姿はない。先に起きたのだろうか。
「……起きよう」
寝起きのせいか、テンションの低い仁奈であった。
「よう」
「……まおちん」
洗面所にて、魔緒が歯を磨いていた。
「お前の歯ブラシこれな」
「……うん」
魔緒と並んで歯を磨く仁奈。
「……」
「……」
無言の二人。歯を磨きながらだと、喋りづらいからだろうか。
「……」
「……」
終わるまで待とう。
「よく眠れたか?」
「……うん」
その割には眠たそうな仁奈。大方、隣で魔緒が寝ているせいで、ドキドキして眠れなかったのだろう。
「それじゃあ、さっさと着替えろ。そろそろ朝飯の時間だ」
「うん」
どうやら、テンション駄々下がりモードからは脱出したようだ。




