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二角の恋愛・ヒューマンドラマ

先王が大嫌いな赤身の肉を死ぬまで食べ続けた理由

作者: 二角ゆう
掲載日:2026/03/14

数ある中から作品を選んでいただきありがとうございます!

 王位を巡る争いが絶えない時代だった。

 そんな時代には珍しく円満に王位を譲り、長生きをした先王がいた。


 先王は王城の敷地に別棟を建てさせ、隠居した。現王も人格者であり、定期的に先王へ会いに来る。


 ちょうど昼時に来てしまったので、早々に面会を切り上げ席を立つ現王。

 その脇を料理が通過する。


 ある皿を見て、現王が声を上げた。


「御父様、その歳でまだ赤身の肉をお召し上がるのですか?」

「あぁ」


 皺は増えたが精悍な顔つきの先王からは表情は読み取れない。暖簾に腕押し。


 現王が大きな溜息をついてみても、先王は素知らぬ顔。


「また来ます」と短く言葉を残すと、部屋を出たところで主治医に訊ねた。


「はい、アルヴェリオ様は、毎日、赤身の肉をお召し上がりになります」


 現王の息を呑む音が静かに響いた。


「御父様はそんなに赤身の肉が好きだったのか?」

「いえ──」


     *    *    *


 部屋の中ではナイフで一口大に切った赤身の肉を、アルヴェリオは口に放り込んだ。

 何度も咀嚼する。


「はぁ、この食感、肉から染み出る味、最悪だ。

 なのに死んだメリンダはいつも『この肉が大好きだ』と喜んでいた。肉を頬張って『幸せ』と笑った、あの顔と言ったら⋯⋯」


 ようやく飲み込むと喉に不快感が残る。


「うぅむ、喉を通るこの感触は最低だ。

 なのにこの赤身の肉を食べているときが、一番君をよく思い出せるんだ」


 眉間には深い皺が出来ていた。

 それでもアルヴェリオは、もう一口だけ肉を噛みしめた。

お読みいただきありがとうございました。

大好きな味に残る大好きな思い出もいいですが、大嫌いな味に残る大好きな思い出もいいかなとも思い書きました。

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
囚人がアルフォート食べて、刑務所の生活を思い出す感じなのかな? ( ・∇・)←違う。 昔食べた懐かしい煎餅を食べて、子供の頃の記憶が蘇る事がありますね。 懐かしい。 ゜+(人・∀・*)+。♪ そんな…
おお。いいですね。 ちょっと臥薪嘗胆的な感じがしますね〜(*^^*)
なるほど! そういうコンセプトですか! (´⊙ω⊙`)! とても良かったです〜。 (*´ω`*)
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