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玉響  作者: 遠井 符$
カナタとマナタ
1/13

再起

この小説はAIによる補助が行われています。不快感を感じる方は閲覧をオススメしません。

俺は昔からあまり社会に期待していなかった。


そして社会人になって案の定目から光を失い生きていた。消えてなくなりたいと思った時。


偶然通り魔に刺された。


傷口を手で多い倒れ込む。


???「折角だから生きてもらうよ」


暗くなりつつある視界に映りこむ人影、そしてその人影は俺の傷口になにかをした。そして、


俺「……なんだよ、これ」


倒れていたはずの俺は、ゆっくりと身を起こした。腹を刺された痛みは消えてはいない。


だが、それ以上に異様な感覚が全身を覆っている。  裂けたはずの肉が、勝手に繋がっていく。


骨まで届いていたはずの傷が、かすり傷程度になっていた。


???「やっと動いたね。死んだかと思った。」


 視界に映るのは、ジト目でこちらを覗き込む女。年齢は二十代半ばくらいだろうか。真顔で冗談を言うタイプ、といった雰囲気。


俺「……お前、俺に何をした」


???「ふふん、気になる? わかりやすく言うと、あんた、もう人間じゃない」


俺「は?」


口調は軽いのに、言葉の意味が重すぎる。俺が眉をひそめると、彼女は肩をすくめた。


???「ほら、『ジキルとハイド』って知ってる? あんな感じ。私は人間の人格と、ゾンビの人格の二つを持ってる。身体はもう完全にゾンビだけどね」


俺 「ゾンビ……って、映画とかゲームの?」


???「うん。まあ、あれはだいたい間違い。噛まれたら感染する、脳を撃てば死ぬ、みたいな。実際はちょっと違うんだよ」


彼女は立ち上がり、街灯に照らされながら淡々と語り出した。


???「ゾンビはね、二パターンあるの。基準は“感染量”。 重度感染だと身体が蝕まれすぎてしまい身体が儚くなりすぎて、月の光すら浴びられなくなる。即消滅。でも軽度感染だと違う。人間として残るのは脳だけで、身体は全部ゾンビ。四肢がもげてもすぐに治るし、二ヶ月くらい何も食べなくても動き続けられる」


俺「……俺はどっちだ?」


???「もちろん軽度。じゃなきゃ今こうして話してないでしょ?」


女はニッと笑った。その笑みには悪びれたところが一切ない。


俺「……どうして俺なんかを」


???「理由?簡単だよ。ひとりは、寂しいから」


あまりに即答で、俺は言葉を失った。 彼女は続ける。


???「マナタとあんまり仲良くできないの。ゾンビとしての人格が存在しちゃってるっぽくて、前例がないらしいけど、多分もともと二重人格の素質があったから。で、そのマナタは……まあ、本能とか欲望に正直。モラルも一応あるけど、“お気持ち程度”かな」


俺 「……つまり、めんどくさい隣人を飼ってるってことか」


???「うん、そんな感じ。だから、ずっと寂しかった。あんたみたいに深い傷を負って、感染させやすい人を見つけたから……つい、ね」


俺「ついで人をゾンビにすんな」


???「文句言うなら歩きながらにして。ほら、旅に出よ」


そう言って彼女は手を差し伸べてきた。  俺はその手をしばらく見つめてから、ため息混じりに握り返した。


俺「……死にたかったのに、めんどくさい女に捕まっちまったな」


???「はいはい、これから退屈はさせないよ。世界は広いんだから、ゾンビ以外にも亜人はいるらしいよ?気になるでしょ。」


俺「あーそうだなー。ってかそういや、そのゾンビ人格とやらはマナタって呼べばいいんだろうけど、お前はなんて呼べばいいんだ?」


???「私?一応カナタだよ」


俺「そうか、とりあえずよろしくな」


こうして、俺とゾンビの女の旅が始まった。

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