黄金のアルシュベルド 07 金の魅力
禁足地内隔ての砂原にて、特別個体のクシャルダオラと、黄金のアルシュベルドが現れた。さらに、その2頭の戦闘後の影響でクナファ村近郊で金鉱石が発見される。
この報告に禁足地調査隊の長ファビウス卿は1人頭を悩ませていた。ハンターズギルドに対しても思慮深く報告せねばならない。と、交易船に金鉱石を乗せていくことを止めさせていた。
星の隊の反応
狩猟に参加できなかったオリヴィアは「金色のモンスターは猿くらいしか見たことはない」と笑う。
ヴェルナーは彼なりの喜びを表し、クシャルダオラの蒼いブレスや、黄金のアルシュベルドの攻撃方法をやたらに気にかけていた。今後の2匹の動向には協力すると前向きだ。
エリックも新しいモンスターの登場には強い興味を示すが、「そんな石ころいらないよ」と手土産に貰った金鉱石を突き返してしまったという。
ジェマ「あいつら相変わらず変わりモンだね」
彼らの反応を見たあとでジェマの言葉を否定するものは、ベースキャンプには1人もいなかった。
ジェマ「それで? 次はその黄金のアルシュベルドを追うってわけだ。金は装飾品に欠かせない素材だからさ、手に入れたらすぐ寄越してよね」
談笑する鳥の隊の面々の中、恥ずかしそうにアルマが話し始めた。
アルマ「…………あの、ジェマさん、一つだけお願いが」
ジェマ「うん? どうした?」
アルマ「あの……そのですね……個人的なお願いでして……」
ジェマ「何よ? ハッキリ言いなさい。仲間なんだから、なんだって聞いてあげるわよ」
アルマ「はっ、はい。これ……」
懐から土偶を出し、ジェマの眼の前に出した。
ジェマ「アンタの宝物じゃない。あ、壊れたから直せっての? え〜、焼き物はやったことないんだけどォ」
アルマ「違うんです。これを黄金に加工して下さい!!」
鳥の隊全員がポカンとしてアルマを見つめる。
アルマ「元々この土偶には金箔が貼られていたはずなんです。風化する前の真の姿を見たくて、是非、お願いします!」
呆気にとられ、間を置いてからジェマは土偶を受け取った。
ジェマ「は〜ぁっ…………変わりモンはあいつらだけじゃなかったか」
ナタもハンターも笑い始めた。アルマは困惑しつつ、ジェマの手にある土偶を心配そうに見つめている。
ジェマ「アンタの頼みだ。やっとくよ」
片腕で持ち上げるとアルマが注意する。
アルマ「ああっ、気をつけて扱って下さいっ」
慌てるアルマの側で、ナタの笑い声が響いた。
アイルー「ぼくの装備も金ピカにしてニャ」
金鉱石の隙間から覗く黄金を、通りすがる誰もが見とれていた。そんな隔ての砂原ベースキャンプには豊穣期の香りが漂っている。