三話 新たな出会い
翌朝、隼人は洞窟を出て、周囲の探索を再開した。魔力探知のペンダントを首から下げ、警戒しながら森を進んでいく。しばらくすると、ペンダントが微かな魔力の反応を捉えた。
(何かの魔物か……?)
気配を消し、慎重に反応の方向へ近づいていく。やがて、開けた場所に辿り着くと、そこには一匹の魔物が倒れていた。それは、巨大な狼のような魔物だったが、その身体には深い傷がいくつも刻まれていた。
「まだ、生きているのか……?」
近づいてみると、魔物はかろうじて息をしているようだった。エメラルドの瞳が、苦しそうに隼人を見上げる。
(助けてやるべきか……?)
迷ったが、隼人は魔物に近づき、治癒魔法をかけた。すると、魔物の傷はみるみるうちに塞がり、呼吸も安定していった。
しばらくして、魔物はゆっくりと目を覚ました。そして、目の前にいる巨大なドラゴンを見上げ、驚愕の表情を浮かべる。
「あ、あなたは……」
「俺は隼人。お前は?」
「私は、フェンリル。この森の守護者です」
フェンリルは、隼人が自分を助けてくれたことに深く感謝した。そして、この森で何が起こっているのかを語り始めた。
「最近、この森に強力な魔物が現れ、他の魔物たちを襲っているのです。私も、その魔物に襲われて……」
フェンリルは、隼人に助けを求めた。隼人は、フェンリルの話を聞き、その魔物と戦うことを決意した。
「わかった。俺がその魔物を倒そう」
隼人は、フェンリルを連れて、魔物の痕跡を追跡した。やがて、魔物の巣窟と思われる洞窟に辿り着いた。
洞窟の中は、異様な雰囲気に包まれていた。奥に進むと、巨大な魔物の姿が現れた。それは、黒い鱗に覆われた巨大な蛇のような魔物だった。
「グルルルル……」
魔物は、隼人たちを威嚇するように唸り声を上げた。隼人は、フェンリルを安全な場所に避難させ、魔物との戦闘を開始した。
魔物は、強力な毒の息吹や、鋭い牙で攻撃を仕掛けてきた。しかし、隼人は、古代竜の力と魔法を駆使し、魔物の攻撃をかわしていく。
そして、隙を見て、炎の息吹を魔物に放った。魔物は、全身を炎に包まれ、苦悶の声を上げた。さらに、隼人は、雷の魔法で追撃を加え、ついに魔物を倒した。
戦闘後、隼人はフェンリルと共に、他の魔物たちの元へ向かった。そして、魔物の脅威が去ったことを告げ、彼らを安心させた。
フェンリルは、隼人に深く感謝し、彼を森の英雄として称えた。隼人は、フェンリルと別れ、再び旅に出ることにした。
(この世界には、まだまだ色々な魔物や人々がいるのだろう。もっと色々な場所を見てみたい)
隼人は、新たな出会いと冒険を求め、空へと飛び立った。