生きてる
僕はタクシーの中で父親からの不在着信に折返しの電話を入れた。
「もしもし、父さん」
「馬鹿野郎!学校から居なくなったて聞いたぞ?どこ行ってた?」
「知らない奴らに◯×山の廃屋に連れ込まれてた、国語の先生、あの人全然わからなかったんだね」
「ん??」
「っていうか、俺、ほとんど神隠し的な感じ連れてかれてたとしか言えないんだ」
「何言ってるんだ、さっきから…とりあえず無事なのか?」
「わかんないよ、家に帰ったら詳しく話すけど、ごめん、切るよ」
ピッ
「お客さん、見た感じボロボロだけど、喧嘩でもしたの?」とタクシーの運転手が訪ねてきた。
「うん、化け物とね」
「…あまり聞かないでいた方がいいみたいですね」と運転手が言った。
「◯×中学校までお願いします」
「はいよ」
僕は学校に入ると職員室に呼ばれ、校長と教頭からどうしたんだと、質問攻めにあったが、僕のボロボロの服装と脇腹にできた奇妙な足跡を見せると、それ以上追求してこなくなった。
二週後、国語の教員は自己都合で依願退職した。
その日のうちに、僕の家には校長と教頭、警察がやってきて大変だった。
ふとし、お前のせいでとんでもない目にあったぞ…と呟いてから僕は布団で眠った。