ガタガタガタガタ
「え!?」「ふとしッ!」
「お、おい、おまえ達、何の騒ぎた?」
「ふとしの肩に触ったら、叫び始めたのよ」
「何か命にかかわる発作かもしれない、母さん救急車、呼んで」
「わかったわ」
ふとしの母親はスマホで救急に連絡をし始めた。
「おい、ふとし!聞こえるか?」
父親はふとしの反応がないので、彼の頬を平手打ちした。
ばっちん、という音が台所に響く。
ふとしは息を吸うでもなく、吐くでもない不思議な呼吸をしながら目を開けた。
ガタガタガタガタ…
ふとしの目は空中の一点を見つめていて、表情はなかった。彼の肩はこれ以上ないくらい、綺麗に震えていた。
ガタガタガタガタ…
ふとしには両親の声と、廃屋で見たような化け物の姿をした大人が2人見えた。
「ふとし…大丈夫か?」
「父さん、オレ大丈夫…かな?」
「何があった?なんでそんなに怯えているんだ?」
「オレ、肝試しで○×山の廃屋に行ってきた」
「まぁ!」
「…お前、どこまで入った?」
「玄関から少し奥に歩いただけだよ、でもそのせいかな、みんなの顔が化け物みたいに見える…」
「そうか、しばらくは学校を休め、次第に良くなるから」
ふとしは聞き慣れた父親の声で話す
黒肌の老人を見つめた。
母は救急要請を取り下げる電話を始めている。
「…はい、目を覚ましました。病院へは行かずに様子を見ます…ええ、大丈夫です」
ふとしはさっき飲み干したコーヒーと胃酸が口に込み上げてきて、とても嫌な味がしたが、どうしようもなかった。




