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屋敷の主

「あ…そうだった」と彼女は、口元に笑みを浮かべて、縛り上げられた男の顔に吐息が当たるぐらい近づける。「あの机で何をしていたの?」と問うと、何かに弾かれたように身体をビクッと痙攣させた。

男は必死に口を閉じていたが、口は端の方から不自然に開かれていく。「生贄を…この屋敷を元にした結界に閉じ込めて…式神を使って捕らえようといて…いました」次第に男の意思と関係なく、彼女に問われた事を話し始めた。

彼女は男が座っていた机に目を向けると、そこには、怪しく光る精巧な秤がゆっくり揺れていた。


彼女は無表情に秤を見つめ、何かを理解したような表情をした。「こうやれば、この部屋の入口に蓋ができるわけね」そう言うと彼女は人差し指で秤に一度触れると秤はゆっくり均等に揺れ始めた。


「此処の屋敷の主人の部屋と、生贄がいる空間を繋げておいてあげたよ」


「嘘だ…あの秤の操作はあんな簡単にはできないのに」と男は口をポカンと開けて呆然としたのに対して、彼女は「主人が死んだらあなたも生きてはいられないけど、十分生きたじゃない?」と言い、彼の方に優しく手を置いた。「それにしても不自然な長く生きたわね?」と彼女は呆れたような表情をした。


ばちん。


月明かりが差し込む豪奢な洋室に鈍い音が響いた。男は右の頬にびりびりとした痛みを感じた。数秒後、男は左頬にも同様の衝撃を受ける。彼女は男の顎を掴み、顔を上に向けさせるて、にやりと嗤った。


彼女は両手で彼のシャツに触れ、ビリビリと折り紙を破くように裂き始める。


「人間は面白いものを沢山考えて、発明するのよ、例えばこれね」彼女はウエストポーチからベビーオイルと、反り返ったピンク色のきゅうりのような何かを取り出した。


「これ、貴方の主人に使うつもりだったけど、貴方に使ってあげるわ」と彼女は彼の胸板をそっと人差し指で撫で下ろした。


豪奢な部屋の扉には黄金色の光の壁で覆われていた。その扉の中から「アッーーー!」と男の悲痛さと歓喜が混じった叫び声がしばらく断続的に続いた。




その頃。

たけし達は大きな通路を進み始めていた。

何度か化け物達が襲ってきたが、太郎が返り討ちにしてしまっていた。


「なあ、たけし、腹が減ったな」と太郎は言った。いつの間にか僕たちは名前で呼び合うようになっていた。


僕はスクールカバンにチョコレートとエナジーバーが入っているのを思い出したので、太郎に手渡した。太郎は「かたじけない」と言い興味深そうにエナジーの包装紙を開けて、一口齧ると、不思議な表情をしたが、「美味い」と言ってサクサクと食べ始めた。



少し前から、太郎は化け物たちの気配がしなくなったと言ったので、のんびりと屋敷を探索していた。


途中いくつか扉を開けてみたが、奥に行くにつれて部屋の掃除が行き届いていた。暗闇であったので、良く分からなかったが、金のかかった家具や、装飾品、ピアノ等が様々な物が部屋に置いてあった。



広いと言っても建物なので、10分ほどで奥の大きな扉の部屋までたどり着いた。太郎は扉を勢い良く開くと、部屋は屋敷の二吹と吹き抜けになっていて、天窓からは月明かりが差し込んでいた。部屋の中央には赤いドレスをきた若い女が豪華な椅子に座っていた。僕たちを見た若い女は驚きの表情をしている。


「化け物なり…」と太郎は言って太刀を鞘から抜いたが、たけしは美しい娘にしか見えなかった。良く考えれば、こんな廃屋に住んでいる若い娘なんているはずがない。たけしは事の顛末を見届けることにした。



若い女は椅子から立ち上がり、ドレスのコルセットを外し、突然衣服を脱ぎ始め、下着姿となった。顔には余裕の笑みを浮かべてこちらを手招きしている。たけしは自身の鼻から温かく、サラサラとした血液が溢れていいるのに気付いた。


太郎は太刀を下ろして静かに女の方に歩き出す。女は胸の下着を外し、両手を広けて太郎に抱きついたが、そのまま後ろに倒れ込んでしまった。太郎は容赦なく太刀を下から上に向けて振り抜いていた。


太郎は警戒しながら後退り、息を切らしながら、たけしの方へ戻ってきた。月明かりに照らされた太郎の太刀は刃が溶けたようにボロボロとなって、紅く変色していた。

「怪しき術を使う、強敵なりや」と言った。

女は倒れたまま、動かず、そのまま黒い煙をあげて身体が崩れていった。


たけしが鼻を押さえて、何かを隠している事に気付いた太郎は「ガハハ、愉快なり」と大きく笑ったので。たけしは恥ずかしくなった。


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