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やってしまった

 「やってしまった…」


時は数時間前に遡る…


 真面目なこと以外取り柄がなかった。

 中学最後の大会で一回戦負けして数週間前に引退した元剣道部員 黒崎瑠璃(くろさきるり)14歳。現在進路検討中。

 学力、運動能力ともに低くく、部活内で同学年は勿論、後輩達にもボロ負けしていた。日常生活での態度は悪くなく寧ろ良い方だったお陰で内申は酷くはなかった。けど、学力の低さで進路の幅は狭かった。

 2年生の途中までは死ぬほど努力していたし、希望も持っていた…けど世の中上手くいかなくて、今は前より努力しなくなって内心無気力になってやさぐれていた。親からも期待されなくなって色々なことがどうでもよくなってただただ日々を過ごしていた。そして今日も学校から家に帰る途中のはずだった…

 私の前に現れたのは白い長髪の男と黒い短髪の男。突然現れたと思ったら彼ら口を開いてこう言った。


「私/俺と契約してくませんか/しろ。」


 不審者だ、完全に不審者だ!すぐに叫んで逃げようとしたけど黒い男に止められた。


「助けを呼んでも無駄だぞ。」


「どういうこと?」


「言葉通りの意味だ。」


「私達の姿は君にしか見えていまえんよ。」


「は?」


「私達、人間ではないんです。」


 白い男が言っていることは怪しいけど嘘ではなさそうだった。今いる通りは人通りが少ないけどこの時間帯なら誰かしら通っているからこの二人に気づいているはずだ。それにこの二人のまとっている雰囲気はどことなく神聖さを感じていた。


「ならあんた達は…なんなのよ。」


 少し間が空いたと思ったら二人は笑みを浮かべながらこう言った。


「天使と悪魔だ/ですよ。」


「えっ」


 そう言い終えると二人の姿が変わっていた。

 黒い男は短かった髪が胸の辺りまで伸びて白目の部分が黒く染まり、背中には髪と同じくらい黒い翼が生えている。白い男方は元々の中性的な顔立ちに磨きがかかり、頭の上には光り輝く輪っかが浮いていて背中には純白の翼が生えていた。


「信じてくださいましたか?」


「…信じるもなにも信じるしかないでしょ、というか何で天使と悪魔が私と契約なんかしたいわけ。」


「ふんっ、何をほざいている。そんなのお前に素質があるからに決まっているだろ。」


「素質って何のことよ。」


「人間の欲望()を集めること素質ですよ。」


「?」


「人間のああしたいこうしたいつう想いを奪う力だ。んで、俺らがそれを奪って天国行きの人間と地獄行きの人間を調節してんだよ。」


「天国と地獄はそれぞれ魂を受け入れられる容量は限られているので調整ができていないと現世に影響が出てしまうんですよ。そういうことですので、是非、私と契約しましょう。」


「おい、抜け駆けすんじゃねぇよ。」


説明が終わったかとおもったら二人の言い争いが始まった。


「ちょ、ちょっと待って。だいたい私は契約するなんて一言もいってないんだけど、それに契約したところで私になんのメリットがあるわけ。」


「お前の望みを叶えてやる。富、知恵、容姿、大体のもん契約で得た力思い通りにできる。その力はどっちと契約しても得られる。」


「望みを…叶えられる。」


  私が悩んでいると天使が手を取ってきた。


「貴方のこれまでの行動は陰ながら観てきました。貴方はこれまで直向きな努力を重ね誠実に生きてきましたね。ですがその努力はあまり実らず御両親にも見限られてしまいましたよね。貴方は諦めているようですが私はそう思っていません。貴方のような誠実な人は報われるべきです。私と契約してくだされば知恵を得てきっとご両親にも認めてくださいますよ。」


 天使はそう言った。そう言ったけど……

 バッシン!っと力の限り手を振り払って叫んだ。


 「ふざけんな!あんたに私の何が分かるわけ!私の気持ちを知ってるみたいにペラペラと都合の良いことばっか言ってるけど今さらあんな奴らに認められたいなんて微塵も思ってないから!アンタみたいなクソ天使契約するくらいなら悪魔と契約する!」


 一通り叫んでから私は悪魔の手を取った。

 私が手を取ったことを確認すると悪魔は笑いながらこう言った。


「ハッ!最っ高に面白い人間だ!お望み通り契約してやる!」


 私の周りが光だし魔法陣のようなものが現れて私の体から力が流れてきた。

 契約が終わって魔法陣が消える直前に天使の声が聞こえた。


「貴方のことは気に入っていたのですが…仕方がないことです。私はあちらの方へ行きましょう。」


 辺りを見回すと天使の姿は消えていた。

 天使の言葉にカッとなって衝動的に悪魔と契約すると言ったけど冷静に考えたら、かなりマズイことになっているんじゃないかと気づいた。


「これからよろしく頼むぞ。黒崎瑠璃。」


「やってしまった…」

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