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青春時代の歳の差なんて~中高生の歳の差恋愛物語~  作者: 九傷


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第48話 ファーストフード店にて相談の続き② (塚原 元)



 藤原先輩の問題発言(?)のせいで話が盛大に拗れたこともあり、相談は放課後に引き続きということになった。

 場所は最近よく使っている、駅前の『マック』である。



「成程ねぇ~。これなら、確かに密会には丁度いいかも。盲点だったわ」



 どうやら、藤原先輩もこの『マック』を利用したことがなかったようだ。

 まあ、そもそも風紀委員がこんな所を利用するってのも、少し違和感がある。

 ……もちろん、修先輩を除いて、だが。



「じゃあ、早速だけど昼の続きを……」


「ちょ、ちょっと待った!」



 俺が早速話を切り出そうとすると、杉山から待ったがかかる。

 一応昼の発言については、藤原先輩が謝って解決したと思っているが、まだ何かあるのだろうか?



「どうしたの杉山君? ひょっとして、ファーストフード店って苦手?」


「いや、そうじゃなくて……」



 そう言いながら杉山は、チラチラと俺の隣の席を見ている。



「……あぁ、杉山君、人見知りだものね。朝霧さんが気になるのかしら?」



 ああ、そういうことか。

 現在、俺の隣には朝霧さんが座っている。

 彼女は昼の面子にはいなかったが、色々あって急遽この話し合いに参加することになったのである。



「いや、ゆず……、じゃなくて朝霧さんとは、一応面識あるんだが、何故ここに……?」



 ゆず……? 彼女の名前は確かに柚葉(ゆずは)だが、何故いきなり名前を……?

 ……もしかして、名前で呼び合うような仲だったりするのだろうか?



「ああ、杉山君は事情を知らないんだし、そう思うのも無理はないわね」



 っと、少し思考が逸れてしまったが、確かに藤原先輩の言う通りである。

 元々この件には彼女も関わっているが、杉山からしたら彼女がここにいる理由がわからないのは当然と言える。

 しかも、昼間の断片的な相談内容から考えれば、彼女がこの件に関わっているなどとは、とても思えないだろう。



「あの、杉山先輩……、今回の話は、私からお願いしたことでもあるんです」


「ふぇ!? う、嘘でしょ!? だ、だって、盗……、えぇ!?」



 ……どうやら、杉山の頭の中には昼の話の内容がしっかりと沁みついてしまっているらしい。

 一応否定はしたのだが、監視と言い換えても結局は受け手により印象は変わってしまうので仕方ないのかもしれない。



「……杉山、昼休みのときには説明できなかったが、今回の件の詳細を説明するよ。ただ、デリケートな案件なんでな……。引き受ける引き受けないに関わらず、このことは他言無用でお願いしたい」



 俺が頭を下げると、杉山は増々困惑した表情になる。



「いや、なんか重そうだし、正直聞くのも嫌なんだけど……」


「ちょっと杉山君、流石にそれは冷たいでしょ? こんな可愛い子が困っているのよ?」


「う……、確かに……。いや、しかし……」


「もう! いいからとりあえず聞きなさい! もし聞かないって言うのなら、アナタの所持しているあんなモノやこんなモノのことを……」


「ストーーーーップ! わかった! 聞きます! 聞きますから!」



 慌てて藤原先輩の口を塞ぎにかかる杉山。

 それを慣れた手つきで躱す藤原先輩。

 この二人の関係は一体なんなのだろうか……?

 ……気にはなるが、それよりも――



「あの、脅すようなやり方は、その、良くないと思います……」


(っ!?)



 ……驚いたな。

 今まさに俺が言おうとしたことを、そっくりそのまま朝霧さんに言われてしまった。

 本当に、彼女には驚かされることが多い。



「藤原先輩、俺もそう思います。脅してまで協力を得ようとするつもりは、ありません」



 確かに俺は藤原先輩に相談をしたが、ここまでされると話は変わってくる。

 嫌がっている相手を脅して協力させるなど、許されることではない。



「……ごめん、私が悪かったわ。さっきの言葉は撤回する。つい勢いで言ってしまったけど、強要するつもりは決してなかったの」



 ……まあ、そんなところだろうな。

 俺は藤原先輩のことを良く知っているワケではないので真意を測ることはできないが、友達同士で口論して言い過ぎるなんてことは良くあることだ。

 売り言葉に買い言葉で心にもないことを言ってしまうなんてことは、むしろ親しい関係だからこそ発生する事例と言えるだろう。



「……いや、俺の方こそ、グジグジと、すみませんでした。別に最初から口外するつもりなんてないし、話は聞こうと思います。……ただ、協力できるかどうかは、聞いてみないとわからない。それでいいか?」



 杉山は済まなそうな表情で藤原先輩に頭を下げる。

 そして、俺の方を向いてそう確認してきた。



「……もちろんだ」




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