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青春時代の歳の差なんて~中高生の歳の差恋愛物語~  作者: 九傷


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第39話 幸せな時間に差す影(麻生 環)



 ここ最近は、私にしては健康に過ごせていると思う。

 その要因はやはり、良き友達に恵まれたことだろう。

 静流ちゃん、和花ちゃん、そして柚葉ちゃん……

 三人は、私にはもったいないくらいの、最高の友達だ。

 私が楽しく学校生活を送れているのは、間違いなくこの三人のお陰と言っていい。


 最近は、隣の席の加山さんとも話すことが増えている。

 加山さんはちょっと気が強い感じがするけど、面倒見が良くて優しい人だ。

 私が体調を崩したときなどは優しく介抱してくれるし、凄く助けられている。

 加山さんみたいな人のことを、姉御肌って言うのかな?



「……ん、どうしたの? そんなマジマジと見つめて」


「あ、ごめんなさい……。ただ、加山さんは凄いなって……」


「はいぃ!? 凄いって、何が!?」


「だって、運動神経も良いし、勉強もできるし、優しいし……。それに、凄く面倒見が良いなって…」



 私がそう言うと、加山さんは凄く驚いた顔をし、次に段々と赤くなっていく。



「ちょ、ちょっとやめてよ! 私なんて、朝霧さんに比べたら、ホラ、あれだよ……、ただの下位互換! それに性格だって悪いし、ルックスだって……」


「そ、そんなことないよ! 性格だって良いと思うし、ルックスだって、私なんかに比べたら凄く綺麗だよ……」



 加山さんはツリ目がちではあるけど、キリっとした感じの美人さんだ。

 確かに柚葉ちゃんと比べれば、可愛さでは敵わないかもしれないけど、それを言ったら、そんじょそこらのアイドルだって彼女には勝てないだろう。

 それに、スタイルに関して言えば、加山さんの方が間違いなく勝っている。

 そんな加山さんに謙遜されたら、私なんて……



「あー、えっと、その、ありがとう? って、それより! またゴメンって言ったよ! 減点1ね!」


「あ……、ゴメ……」



 言いかけて、ギリギリで踏みとどまる。

 やはりこの癖は、中々直らないな……



「ん、今のはギリギリセーフってことにしてあげよう」


「あ、ありがとう」



 加山さんには、私のこの悪癖を直すのに付き合ってもらっている。

 1回につき1点の減点方式で、一週間の持ち点20点を使いきると罰則が発生するルールだ。

 20点もあれば余裕のように思われるかもしれないけど、私の場合は結構ギリギリだったりする。

 実際、先週は罰ゲームとなり缶ジュースを一本奢ることになった。

 罰則自体はオマケのようなものなのだけど、それが発生すること自体地味に凹んでしまう。

 いかに私がダメダメか、結果として表れるからだ。


 でも、このゲームを始めてからは今のように意識して「ごめんなさい」と言い切る前に止められるようになっており、少しずつだけど改善の兆候は見えてきている……、気がする。

 全く……、こんなおかしなことに付き合ってくれる加山さんには頭が上がらない。



「これで3点目だけど、今週は調子が良いね。早速効果が出てきた感じ?」


「……うん、自分でも、先週の結果は結構凹んだから、その分今週は意識できている気がする」


「フフッ、さっきは危なかったけどね」


「あはは……、そうだね。……でも、本当にこんなことに付き合ってくれて、ありがとう」



 改めてお礼を言うと、加山さんは手をヒラヒラとやりながら「いいっていいって」と笑って言う。



「それに、元々は私が言い出したことだしね。麻生さんの助けになってるなら、私としては満足だよ」


「……加山さんって、本当に面倒見が良いよね。柚葉ちゃんとは、また違った感じで」


「……あ~、それは多分、私が長女だからだよ」



 長女……、ということは彼女には弟か妹がいるのか……



「私、下に弟と妹がいてね。まだどっちも小さいんだけど、二人もいると結構大変でさ……。私が手伝わないと、お母さん倒れちゃいそうなんだよね~」



 弟に、妹か……

 一人っ子の私には、あまり想像できないな……

 でも、自分のことで精一杯な私から見れば、やっぱり加山さんは凄いなと思う。



「弟君に、妹さんかぁ……。やっぱり、可愛い?」


「それがねぇ、聞いてよ麻生さん……」



 私達は、そんな話に花を咲かせながら、休み時間を過ごした。









 ……そんな幸せな時間を過ごしていたからだろうか、そのときは気付かなかった。

 自分の筆箱の中身が、いつからか少し減っていることに……




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