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八千円。その日、受取った日払いの給料の金額だ。その日の勤務時間は二十一時から二十四時までの三時間ということになっているらしい。
時給は五千円、ドレスレンタル千円、送り代五百円、罰金三千円、更に税金だか何だかわからないが勤務の都度引かれるという「厚生費」が三千円、日払いのときは千円未満切り捨てで、給与振込の際にその分は支払われることになっていた。
爽やかなはずの日曜日の朝を、真琴はやはり眠れないまま最悪の気分で迎えた。午前九時頃になると、スカウトマンのツヅキからLINEが来た。
『お仕事どうですか?そろそろ慣れました?』
『同伴の予定だったお客さんに枕をしないならお店に行かないと言われ、一人で出勤したら遅刻ってことで罰金を払わされました。三千円』
聞いてないんですけど、という非難を込めて、真琴は苛立たしげに返信した。
『あらら(汗)それは運が悪かったですね。でもまあ、夜なんてそんなもんす。あるあるっすよ。』
そんなもん。あの屈辱や恐怖が、そんなもん、で罷り通る世界。それが夜の世界なのか。
そうか。真琴は大きくため息をついて携帯をテーブルに伏せた。
昼には、昨日受け取れなかったドレスが届く。