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冴えない才女とサウナと酒場  作者: 城築ゆう
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8-5

 大阪環状線ではサラリーマンたちの帰宅ラッシュに紛れ込んでしまった。

 世間様と同じ月曜日から金曜日の五日間働いていたので、曜日感覚を失うことはなかったけれど、時間の感覚はやはりどうしても狂ってしまうみたいで、外の明るさからしてまだ夕方の四時くらいだと思っていた。

 六時半、OL時代の私なら、スーパーで買い物でもしていたかもしれない。

 定時で帰ることができる職場を辞めたのはもったいなかったのか、いや、おばあちゃんになるまでエクセルに無意味にキャプチャを貼り続けるなんてごめんだ。

 転職活動をしながらホステスを続けるのもありだったかな、いやいや、毎日うっすら二日酔いで履歴書なんて書けっこない。

 そもそも今更、再び満員電車に体を押し込める日々をこなせるのか。まあそれは、そのときが来れば考えよう。


 最寄り駅は、大阪環状線の中でも降りる人が少なくて、ぼけっとしていると降りそびれてしまいそうになる。

 私はその都会の中の寂れた駅名のアナウンスを聞いて、短く息を吐いて気合を入れる。

 確かな足取りで電車を降り、鞄に入れていた黒猫のポーチを駅のホームに設置されたゴミ箱に放り込んだ。自分が救い続けた自分を守ると、決意を込めて。

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