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冴えない才女とサウナと酒場  作者: 城築ゆう
27/51

3-9

「学生の頃に二人で作成したやりたいことリストを消化する」という宮部の計画に沿って、二人はイルミネーションを見に行ったり、回らない寿司をたらふく食べたり、ホームシアターで映画を見たりした。


 その日は朝からショッピングモールへ行って揃いのスニーカーを買い、互いの服を選び、夕方に帰宅して、夕飯として皮から手作りして餃子を焼いた。

 食後、宮部と真琴は隣り合ってソファに掛け、宮部のスマホで猫や犬の動画を見ていた。

 一日歩いて疲れたのか、宮部は時折船を漕ぎ、スマホを落としかけ、真琴が代わって宮部のスマホを握った。

 スマホを落とす心配もなくなり安心しきった宮部は、真琴の肩に頭を乗せて寝息を立て始める。

 片手には宮部のスマホ。揺すっても宮部は起きない。魔が差してはかぶりを振って、良からぬ考えを打ち消す。しかしそれは徒労に終わる。

『おーい失恋ゾンビ、生きてるかー』

 画面上部に表示されるLINEの通知。心拍数が上がる。

 半ば反射的に、画面上部に表示されているそれが消えないうちにタップする。グループラインが開く。メンバーは五人で、グループ名は『1年3組ゲーム班』。

 宮部が特に仲良くしていたというゲーム仲間たちは、高校一年生のときにクラスが一緒になったメンバーだったと聞かされていたことを思い出す。

 心臓は強く鼓動するのに、スマホを触る指先からに血液が届かない。

 右肩に載る宮部の頭からできるだけスマホを遠ざけ、LINEを遡る。一件の宮部の発言を見つけ、遡る指が止まる。

『千冬さんに振られた。他に好きな人ができたらしい』

 送信日付は今から一ヶ月前、真琴に手紙を寄越す一週間前だった。真琴は更に核心に迫るため、別のトーク画面を探す。

 目当てのものはすぐに見つかった。「chifuyu」というアカウント名、アイコンは髪の長い女性が猫を抱いた写真だ。

『私みたいなおばさんのことを好きになってくれてありがとう。でもごめんね。さよなら』

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