表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冴えない才女とサウナと酒場  作者: 城築ゆう
20/51

3-2

 金曜日の営業終了後、聖子ママがカウンター下の収納をゴソゴソしたかと思いきや、いつぞやの商店街の福引で当ったという銭湯の割引券をくれたので、私は寄り道してから帰ることにした。


 サウナ、水風呂、外気浴。一巡して、更にもう一巡しようとしたときだった。

 頭を棒か何かで殴られたような、強い衝撃が走った。痛みが引く前にもう一度。またもう一度。何度も見えない何かで殴られるような感覚に見舞われる。

 見えない殴打が繰り返される衝撃の間隔がどんどん短くなっている気がする。

 近くのベンチに腰を掛けた。ガン、ガン、と痛む頭を両手で包んで俯く。

 私以外の客はいないらしく、湯船の循環ろ過装置がお湯を吐き出し続ける音だけが聞こえる。

 原因を一つ一つ洗い出そうにも頭が痛くて回らない。助けを呼ぶこともできず、ただただ痛みに耐え続けた。


 気がついたとき、時計を見ると午前四時三十分を指していた。もうすぐ閉店の時間だ。

 いつの間にか私はベンチに上半身を横たえていた。どれだけ時間が経ったかわからないけど、多分五分や十分どころではない。

 裸の体はカピカピに乾いて冷え切っていた。

 体をゆっくりと起こすと頭の奥がズキンズキンと痛む。硬いベンチに無理な格好で長時間横たわり続けたせいで、肩も背中も腰も痛い。

 冷えた体に掛け湯してから湯船に浸かる。少しでも体を温めたかった。

 しかし、髪を乾かさなくてはいけないし、営業終了ギリギリに会計をして店員に白い目で見られたくないし、と時間が気になって、結局十分と入っていられなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ