3話 千代、怒る
翌朝、千代が部屋に入って来る。
俺たちはまだ寝ている。
俺は清音と日奈と同じ布団で寝ている。
３人とも全裸である。
千代は、この光景を見て震えだす。
怒っているのである。
「つな様、何をしているのですか。」
俺は、千代の声に目を覚ます
「おはよう。」
「おはようではありません。」
「千代、どうしたの。」
「これは、どういうことですか。」
俺は千代がなぜ怒っているのかわからない。
「何か気に障ることしたかな。」
「分からないのですか。」
「分からないよ。」
千代は毒気を抜かれた顔になって説明する
「四條の娘を貰ったら、四條家とつながりができてしまいます。」
「う～ん、そうだね。」
「四條家は、謀反人の家柄ですよ。」
「道隆は処罰されているから、ほかの四條家は関係ないでしょ。」
千代はため息をつき、首を振る
「四條家は貴族としては終わりです。ほかの貴族たちは関わりませんわ。」
「俺は差別する気はないよ。」
「分かっていませんね。」
「菊姫は認めたけど。」
「私はどうしましょ。」
千代は考え込む。
清音と日奈も起きて着物を着る。
日奈は千代の前に正座して頼み込む
「四條兼隆の娘、日奈です。立場はわきまえています。末席にお加えください。」
「立場が分かっているなら、ここにいてはだめでしょ。」
千代は言い放つ。
清音が千代に言う
「日奈は、つなのお気に入りだから、いてもらうわ。」
清音は、日奈が俺の好みのタイプだとお見通しらしい。
「そんな理由で置いておくの。」
千代はあきれる。
「もう来てしまったんだから、千代も日奈と仲良くしてくれないかな。」
俺は千代に頼む
「私は、つな様の意見を尊重します。」
「日奈さん、九条正親の娘、千代です。仲良くしましょう。」
千代は態度を決める。
日奈は、千代を九条正親の娘と知り、冷や汗をかきながら
「よろしくお願いします。」
と言う。
千代は俺を見つめて言う
「昨夜は日奈さんをかわいがったのだから、今夜は私をかわいがってくれますね。」
「ああ、当然だよ。」
俺は気おされながら言うと、千代は微笑む。
千代は、自室に戻ると父正親に手紙を書き始める。
内容は、もちろん日奈のことである。
