12話 官4位になる
3日後、道隆と捕虜2名の斬首が行われる。
捕虜は話が違うと騒ぐが、植松良房は取り合わない。
俺と清音、弥次郎、千代音の働きに対しての褒賞が話し合われる。
菊が最初に声を上げる
「つな様、清音様は官3位、弥次郎と千代音は官6位が相応と思います。」
今泉清光が言う
「平民と忌み人です。報奨金でよいかと思います。」
「4人の働きは牛鬼40匹を倒し、四條道隆の反乱を速やかに鎮圧した功労があります。」
菊は続ける
「4人は私に仕えているのです。4人を侮辱するのは私を侮辱するのと同じですよ。」
「私は侮辱していません。事実を述べただけです。」
「つな様と清音様は貴族ですよ。」
「成り上がり者ではありませんか。」
「成り上がり者でも彼らの実力は本物です。相応の扱いが必要だと思いますな。」
九条正親が菊の援護に回る。
「それでも官位を与えるのは、官位を軽んじているのではありませんか。」
「それでは、つな殿と清音殿には官4位と領地、弥次郎と千代音は官7位と褒賞金ではどうですかな。」
「領地まで与えてしまうのですか。」
「戦働きの功績です。領地は当然でしょう。」
「・・・」
今泉清光は黙り込む。
九条正親は帝に具申する
「褒賞の件、つな殿と清音殿には官4位と領地、弥次郎と千代音は官7位と褒賞金と愚考します。」
「官位を軽んじられても困るからな。それでよいだろう。」
帝も認める。
翌日、俺と清音、弥次郎、千代音の4人は帝に召喚される。
俺たち4人は帝の間の中央で視座する。
左右には貴族たちが座っており、一段高い所に帝が座っている。
「弥次郎と千代音。」
「はい。」
「牛鬼を倒し菊を助けたこと反乱の速やかな鎮圧、2つの功により、官7位と褒賞金を与える。」
「ありがたく頂戴いたします。」
「つなと清音。」
「はい。」
「牛鬼を倒し菊を助けたこと反乱の速やかな鎮圧、2つの功により、官4位と領地を与える。」
「発言をお許しください。」
貴族たちがざわめく。
帝が俺に言う
「申してみよ。」
「領地を返上したく思います。」
「私も領地はいりません。」
清音も言う。
「無欲だな。理由は何だ。」
「清音と一緒に居たいです。」
「そうか、わかったぞ。」
帝の言葉に嫌な予感を感じる。
「皆まで、言わずともよい。そこまでして、菊と一緒に居たいか。」
「それは・・」
「分かっておる。今後も励むがよい。」
帝は勝手に頷いている。
これでは、お父さん娘さんをくださいではないか。
しかも帝はまんざらでもなさそうだ。
俺は清音といたいだけなのである。
帝は、俺と清音に言う
「つなと清音は、官4位を与える。領地は預かり、今後功のあった者に与えることとする。」
「はい。」
貴族たちの中で菊が嬉しそうにしている。
俺と清音は菊に呼ばれる
「つな様、よく言ってくれました。お父様は私たちの仲を認めてくれたようです。」
「私は、清音を別れたくなかったのです。」
「それなら、どちらかが、領主代行を置いて、一緒に暮らせばよいのではないのですか。」
「そんなことできすのですか。」
「ええ、できますよ。私の護衛はできなくなります。」
俺はまだ貴族のことに詳しくない。
一方的に分かれるものだと思っていたのである
「なんで、教えてくれなかったのですか。」
「聞かれませんでしたから。」
「確かに聞きませんでしたが、領地のことで悩んでいたことを知ってましたよね。」
「何のことですか。これで結婚に一歩近づきましたね。」
菊は嬉しそうに言う。




