3話 武芸大会、貴族たちの思惑
帝の前で貴族たちが話し合っている。
九条正親が発言する
「盗賊討伐軍の2度の敗退、黒い牛鬼の討伐軍の失敗、このところ軍は負け続けております。」
「盗賊討伐は領主の失態ですし、黒い牛鬼の時は相手が悪かったのです。」
四條道隆が反論する
「敵に負けて相手が悪かったでは、国を守れませんぞ。」
「なら、どうするおつもりか。」
「武芸大会はどうでしょう。それも貴族が戦って兵たちに範を示すのです。」
「魔法剣士は、どうするのです。剣士ではかないませんぞ。」
「魔法剣士と魔法士には魔法で戦っていただきましょう。」
「優勝者には、官位でも与えますか。」
「いいえ、貴族として模範を示すだけです。報奨金でよいかと思います。」
「そうですな。」
道隆は、甥の四條忠正の汚名返上にちょうどいいと考える。
彼は帝に尋ねる
「我々の愚考いかがだしょうか。」
「兵の士気を高められるのならよいだろう。」
「はい。」
正親と道隆はことが都合のよい方に転がったと考える。
四條道隆は日野信当たちと話し合う
「武芸大会はいかが思います。」
「つなを葬る良い機会だと思いませんか。」
「常盤殿の甥はいかがですか。」
「つなは剣も一騎当千ということですが魔法だけなら・・・」
「そうですな剣は使えないのですから。」
「甥の常盤法然ならば確実に仕留めることが出来ましょう。」
「あの法然ですか。」
「甥は魔法で幾人も人を殺しています。」
「それでは他の出場者が危ないのでは。」
「多少の犠牲はやむを得ないでしょう。」
「恐ろしいですな。」
集まった貴族たちは笑いをこらえる
「清音はどうしますかな。」
「四條忠正殿がおります。剣の天才だとか。」
「甥には清音と当たったら殺すように伝えときます。」
道隆が答える
「日野勝時様もいましたな、あの平正虎様と双璧だと聞き及んでいます。」
「もちろん、勝ってもらわなねば困る。日野のメンツがかかっておるからな。」
日野信当が言う
「どちらにしろ清音は女、勝ち残れますまい。」
「そうでしょうとも。」
「この武芸大会でつなと清音には消えてもらいましょう。」
日野信当たちは笑い出す。
九条正親たちも話し合いをしている
「清音殿は大丈夫ですか。」
「平正虎の及ばないほどの腕だそうです。」
「それほどなのですか。」
「これまでの功績が語っています。」
「しかし、女ですぞ。」
「他に候補を立てますか。」
「それでは意味はありません。」
「そうは言いますが・・・」
「清音殿を信じましょう。」
「つな殿は魔法だけで勝てますかな。」
「彼の力の刃は黒い牛鬼を切ったそうです。」
「それはすごいですな。」
「彼にかなう者はいないでしょう。」
九条正親はつなと清音が勝つと信じている。




