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1話 日野信当たちの企み

 四條道隆(しじょうみちたか)は、竹丸に目通りをする。

 竹丸は、まだ6歳の少年である。

 竹丸の横には側室の信濃がついている。

 彼女は、日野信当(ひのしんとう)の娘である。

 信濃が道隆に言う

 「菊姫の所へ行かなくてもよいのか。」

 「何のことでしょうか。」

 「ここへは何用で来られた。」

 「竹丸様はまだ幼いので、私にお力になれることはないかと思った次第です。」

 「四條殿は竹丸の力になってくれるのか。」

 「はい、私でよければ、お使いください。」

 「よく申してくれた、そなたの力添え期待しておるぞ。」

こうして四條道隆は竹丸を推すことになる。

 彼は、日野信当たちの話し合いの場に加わることになる

 「能鬼師(のうきし)は、存外役に立たなかったのう。」

 「いえ、後一歩で菊姫様を亡き者にできたのです。」

 「つなと清音か、貴族の仲間入りまでしてしまったぞ。」

 「それに九条殿の千代が能鬼師に襲われたそうだ。」

 「菊姫についている貴族の中に能鬼師につながっておるものがおるはず。」

 「うかつに動けませんな。」

 「能鬼師の襲われてはかなわんからのう。」

道隆は信当たちの話に驚く。

 彼らは菊姫を暗殺しようとしたのだ。

 それもよりによって能鬼師を使ったのだ。

 道隆は信当たちに危うさを感じる。

 「今回から四條殿が参加されておりますな。」

 「竹丸様に力添えをしたく思っています。」

 「長良殿は菊姫を(あきら)めたのですか。」

 「菊姫はつな殿を夫に考えています。」

 「菊姫は、成り上がり者を夫に、帝の地位はいらないと見える。」

 「違いますぞ、つな殿は帝も認めております。」

 「また、つなか目障りになってきましたな。」

 「彼は魔法剣士で天下無双の強さを誇っています。」

 「能鬼師もかなわない化け物でしたな。」

 「つな殿を排除できれば、菊姫の足元は崩れます。」

信当たちは道隆の話を聞く

 「つなですか、何か良い手はないですかね。」

 「奇襲で殺すのは難しいのう。」

 「同じ魔法剣士を使ってはどうですか。」

 「つなは上級の魔法剣士です。」

 「手ごろなものがおらぬな。」

 「常盤(ときわ)殿の所に上級の魔法剣士がいたと思いましたが。」

 「甥がそうですが、つなは黒い牛鬼を倒したほどの手練れ、甥ではかないません。」

結局、つなを殺すよいアイデアは出てこない。

 信当たちのターゲットは、菊からつなに変わる。

 つながいなくなれば菊姫の陣営は核を失うことになるのだ。


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