6話 弥次郎と千代音、官位を得る
菊は弥次郎と千代音の結婚祝いに牛鬼の刀を与える。
刀の柄には八宮の家紋である板倉巴があしらわれている。
さらに5日後菊は弥次郎と千代音に官十位を与える。
これは村を救った功によるものである。
鉄製の札には、八宮の家紋である板倉巴が刻まれており、帝から送られたものであることが分かる。
菊は国府に使者を出して帝から官位を賜るようにしたのである。
影平は弥次郎と千代音に官位を与えることに
「忌み人に気安く官位を与えてはなりません。」
と反対するが、鉄製の札の板倉巴を見ると黙る。
これは帝が認めたことだとわかったのだ。
弥次郎と千代音は帝の家紋入りの刀を渡され、官位を与えられたことで菊に召し抱えられたと覚悟する。
彼は菊に聞く
「俺たちは何をすればいいのですか。」
「官位を最低でも7位まで上げてもらいます。とりあえずは屋敷でくつろいでいてください。」
「はい、町に出ても良いですか。」
「自由にしていてください。」
「分かりました。」
弥次郎たちは鬼の角を換金するために町に出ることにする。
彼らは俺たちに案内を頼む。
俺たちが店に入ると店主は
「つな様、清音様、忌み人を連れて来ないでください。」
弥次郎と千代音は鉄製の札を見せる。
札には板倉巴の家紋が刻まれている。
店主は慌てて謝る
「姫様の所の方でしたか、すみませんでした。」
弥次郎と千代音は、青鬼の角18本と一つ目の角19本を出す。
青鬼の角が1本銀貨2枚銅貨5枚で一つ目の角が銀貨1枚銅貨2枚なので金貨6枚銀貨7枚銅貨8枚になる。
その後、食事処に入ると店主が俺に聞く
「つな様、こちら様はどなたですか。」
「弥次郎さんと千代音さん、姫様に厄介になっている。」
俺は説明する。
「そうですか、ごゆっくりどうぞ。」
俺たちは昼食を食べる。
俺は知っている店を一通り回り、2人を紹介する。
千代音が俺に言う
「こんなことしていいの。」
「構いませんよ。もう2人が入れない店はありません。」
「でも落ち着かないわ。」
「慣れるよ。」
清音が言う。
「官位があるからですかねえ。」
弥次郎が言うと俺は
「2人の鉄製の札には、八宮の家紋である板倉巴が刻まれています。」
「これは、帝から官位を賜った証です。」
と説明する。
「それなら、これは特別なんですね。」
「そうです。」
弥次郎の質問に答える。
館に帰ると菊が弥次郎と千代音を待っている。