4話 弥次郎と千代音を四宮に連れていく
翌朝、朝食を食べると村長は俺に菊あての書簡を預かる。
弥次郎は青鬼退治の報酬を受け取る。
俺は弥次郎に言う
「これから菊姫様の所まで一緒に来てください。」
「俺たちはこのまま旅に出るつもりだよ。」
「一緒に来てください。これは命令です。」
「つな様の命令ですか。」
「そうです。」
俺はこのまま2人を菊に合わせれば、菊は2人に官位を与えると考えている。
2人には迷惑かもしれないが、2人を味方につけたいのだ。
俺は官5位の力にものを言わせて弥次郎と千代音を菊の所に連れていく。
俺たちが村を出発する時、村人は総出で送り出してくれる。
弥次郎と千代音はおとなしくついて来てくれる。
清音が俺に言う
「どうして弥次郎たちを連れて行くの。」
「菊姫には味方が必要だからさ。」
「2人は旅人よ。」
「それでも、腕は一流だろ。」
「そうだけど。」
清音は2人を巻き込みたくないようだ。
1日目の夕方が来る、俺たちは大きめの木を見つけてねる場所に決め、陣を張る。
弥次郎は俺に聞く
「俺たちはどうなる。」
「菊姫様次第です。」
「俺たちは旅人だ、一所にずっといられない。」
「生活が変わるかもしれません。」
「勘弁してほしいな。」
「少なくとも、弥次郎さんたちは官位を得ることになるでしょう。」
「俺たちは忌み人だぞ、そんな話聞いたことがない。」
「菊姫様は差別しません。清音も官位を持っているでしょ。」
「そうだな、そうなるかもしれないな。」
弥次郎は考え込む。
その夜、化物はこない。
2日目も無事、夕方を迎える。
俺たちは4人が寝られそうな木を見つけて根元に陣を張る。
深夜、一つ目が4匹、陣の周りを嗅ぎまわる。
弥次郎と千代音が飛び降り、一瞬で片づける。
俺と清音は出遅れる。
早いのも勝ちなので文句は言えない。
3日目、朝に出発して、午後には四宮に着く。
俺たちが門に行くと門番の1人が連絡に走る。
4人で門を通ろうとすると門番が
「お前たちは何だ、忌み人が失礼だぞ。」
と弥四郎と千代音に言う。
俺は門番に言う
「2人は菊姫様の客人だ。」
「そうでしたか、失礼しました。」
門番は謝る。
弥次郎が俺に言う
「勝手に通して菊姫様に怒られませんか。」
「大丈夫です。」
菊は弥次郎と千代音を気に入るはずである。
領主の館に着くと石川影平が出迎えに出てきている。
俺は影平に言う
「菊姫様の命を果たしてきました。」
「そちらの忌み人は誰です。」
「弥次郎と千代音です。菊姫様に会っていただくため、同行してもらっています。」
「成り上がりが何を言っている。忌み人を入れるつもりか。」
俺は帰って早々に影平の怒りを買う。
影平は弥次郎と千代音を中に入れないつもりだ。