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9話 黒い牛鬼の刀

 角倉宗七は扶桑へ戻ると彼の知る最高の刀鍛冶に会いに行く。

 彼は刀鍛冶に黒い牛鬼の角を見せ

 「これを刀に仕上げてほしい。」

 「宗七さん、これをどこで手に入れたんだ。」

 「菊姫様からの預かり物だ。」

刀鍛冶はそれを聞いて驚く

 「いい素材だ、俺の一番の作品に仕上げてみせるよ。」

 「お願いします。」

宗七は刀鍛冶に角を託す。

 刀鍛冶は2週間で2本の刀を仕上げる。

 黒い刀身の刀である。

 宗七はすぐに国府に向かう。

 彼は国府に着くと菊に会う。

 部屋には、俺と清音もいる。

 宗七は菊に2本の刀を差し出す。

 菊は刀を見て言う

 「良い刀ですね。」

 「ありがとうございます。」

 「そなたに官7位と褒賞を取らせます。」

 「は、はい。」

宗七は驚いている。

 俺たちの部屋で宗七は話をする

 「私もつな様と清音様に巻き込まれたようです。」

 「官7位ですか。」

 「はい。」

 「角倉は安泰ですね。」

 「いいえ、菊姫様が皇位を継げばいいのですが竹丸様がいます。」

 「俺たちは皇位継承争いに巻き込まれたのですか。」

 「少なくとも菊姫様を補助する人材に選ばれた可能性があります。」

 「菊姫様が負けるとどうなります。」

 「少なくとも今のままではいられないでしょう。」

俺たちはとんでもないことに巻き込まれたようだ。

 菊は城に出入りする武器屋に2本の刀を仕立てさせる。

 刀の柄には八宮の家紋、板倉巴があしらわれている。

 菊は俺の刀にうぐいす丸、清音の刀にかわせみ丸と名付ける。

 俺には刀の良し悪しは良くわからない。

 清音は刀を拝領し喜んでいる。

 相当、かわせみ丸のことを気に入った様である。

 宗七は、城に1週間滞在して扶桑に帰っていく。

 菊は、俺と清音を部屋に呼ぶ。

 菊は俺たちに言う

 「四宮に向かいますから旅の準備をしておきなさい。」

 「そこで何かあるのですか。」

 「四宮は私の領地です。」

 「城に住んでいるのではなかったのですか。」

 「私は四宮の領主ですから本当の住まいはそちらになります。」

 「分かりました。」

俺は菊が旅をしていた理由が領地と城を行き来しているためだと知る。

 そして、菊はそこを襲われたのだ。


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