20話 九条正親,味方になる
千代は、国府に帰るとまっすぐ父、九条正親の館へ行く。
正親は、牛車が1台に護衛が1人しかいないことに驚く。
千代は、向かいに出た正親に挨拶する
「お父様、ただいま。」
「何があったんだ。」
「お話は中で致します。」
千代は落ち着いている。
正親に部屋で千代は報告する
「帰りの途中、赤鬼に2回襲われました。」
「何だと。」
「能鬼師が操っていました。」
「よく無事だったな。」
「つな様と清音様に偶然助られました。」
「あの2人か。」
「はい、30匹の赤鬼を2人で倒しています。」
「まるで鬼神のような強さだ。」
「はい、2人とも一騎当千の剣の腕です。」
「千代にそこまで言わせるのか。」
「つな様に至っては魔法剣士として天下無双と思われます。」
「う~ん、あの小僧がか。」
「はい。」
「考えを改めねばならないな。」
「私はつな様を夫に考えております。」
「しかし、わしはお前を竹丸の嫁に考えておるのだぞ。」
「つな様は菊姫様の夫になるでしょう。」
「それは、四條道隆が許すまい。」
「四條道隆の息子長良とつな様では器が違います。」
「帝がつなを菊姫の夫にするというのか。」
「判断はお父様がするものですが、今のままだと誤りますよ。」
「千代はつなを推しておるのだな。」
「はい。」
「方向転換が必要だな。」
「はい、四條道隆はいずれ菊姫様から離れます。」
「菊姫様もつなを選んでいるということか。」
「そうです。」
九条正親は竹丸を推していたが、今後の方針について考えることになる。
俺たちは城に帰り、菊に拝謁する。
俺は植松良房の書簡を菊に渡す。
菊は書簡を読み終えると
「大儀でした。」
「はい。」
他には何かあったか
「はい、九条正親の娘、千代を助けました。」
「ほう、面白い。」
「赤鬼を襲われているいるところを助けて、国府まで護衛をしました。」
「また、我の時と同じね。」
「はい、能鬼師が操っていました。」
「そうですか。」
「旅で疲れていよう、背中を流そうか。」
「えっ、それは。」
「清音も一緒だぞ。」
美少女2人が一緒に風呂である願ってもないチャンスだが、相手は姫様である
「はい、分かりました。」
清音が答える。
また帝に殺されそうにならなければよいが。
夕方近く、九条正親が俺と清音を訪ねてくる。
俺たちの部屋に正親が入るがそこには菊がいる。
正親は驚き
「菊姫様がなぜここにいるのですか。」
「私の部屋は隣にある、いないものとして話すがよい。」
「はい、つな殿、清音殿、娘の千代を助けていただいてありがとうございます。」
「いえ、、偶然ですから、気にされないでください。」
「こちらは護衛をしていただいたお礼です。」
ふくさ包んだものを開けると金貨20枚入っている。
「私たちは鬼を狩って実入りがありますから・・・」
「受け取りなさい。」
菊が言う
「ありがたく頂戴します。」
俺は金貨を受け取る。
「つな殿と清音殿はこの襲撃をどう考えますか。」
「千代様を狙ってのことと考えています。」
俺が答える
「能鬼師がいました。」
清音が言う。
正親はさらに
「意図は分かりますか。」
「菊姫を襲った報復と考えます。」
「私が菊姫を襲ったと言いますか。」
「いいえ、どちらも誰の仕業か分かりませんが利益を得る者がいるはずです。」
「そうですか。」
正親は話を変える
「お二人は菊姫と親しいようですが。」
「これから3人一緒に風呂に入るところです。」
菊姫が言う
「姫様!」
俺は叫び。
正親はあっけにとられる。
そして落ち着くと菊に向き直り
「菊姫様の具申した官位の件、指示をいたします。」
正親は宣言する
「分かった、頼りにしています。」
「はい。」
申して正親は帰っていく。
俺たち3人は一緒に風呂に入っている。
俺にとって美少女2人との風呂はご褒美である。
菊は俺に言う
「九条正親は、我々の味方になってくれるそうだ。」
「敵だったんですよね。」
「そうだが、千代を助けたことで流れが変わったのだ。」
「そうですか。」
「つなが渦中の中心なんだぞ。」
「分かりますが、実感がありません。」
俺が菊と清音の夫になるという話に千代が加わったのだ。
これで九条正親は味方になり、四條道隆が敵になるので、貴族の勢力図が大きく変わることになる。
俺は清音と一緒にいることが出来ればよいのだが周りは許さないらしい。




