10話 国府へ
俺たちは、国府へ急ぐことにする。
佐竹邦直の兵士300人が負けたことは、物見が報告に馬を走らせているはずだ。
俺たちは邦直の次の刺客が来る前に国府へたどり着かなければならないのである。
5日目の夕方になる、寝る場所を決めて陣を張る。
護衛は交代で寝ることにして、夜通し見張るつもりだ。
深夜、俺は地面を伝わる振動で目が覚める。
清音も起きている。
護衛は俺に聞く
「どうしたんですか。」
「赤鬼だ、静かに。」
俺は答える。
しばらくすると赤鬼が3メートル位の巨体を現す。
赤鬼は陣の周りをうろつく。
その時、牛が鳴いてしまう。
俺と清音は陣から出て、赤鬼の注意をそらす。
赤鬼は俺を捕まえようとする、清音が赤鬼の後ろに回り込み足の腱を切る。
赤鬼は俺に覆いかぶさるように倒れる。
俺は飛びのき俺に延ばされた右腕を切る。
清音が背中から刀を赤鬼の心臓に刺しとどめを刺す。
護衛は戦に加わることはできない。
俺たちと護衛とは剣の腕の差がありすぎたのだ。
翌朝は朝早くに出発する。
途中、川があったが、水浴びをしている余裕はない。
6、7日目は何ごともなく過ぎる。
8日目の朝、俺たちに騎馬が2騎追いついてくる。
騎馬の兵は、俺たちに言う
「脱走兵を捕えてくれて感謝する。」
護衛は言う
「このものは証人です。」
「こちらにお引渡し願いたい。」
捕虜を始末して白を切るつもりらしい。
その時、清音が刀を振る。
矢が撃ち落される。
どうしても捕虜を殺すつもりらしい。
俺は少し離れたところに矢を射った騎馬を見つけ、刀に力を乗せて、刀を振り力を飛ばす。
力の刃はその騎馬を切り殺す。
2騎の騎馬は逃げようとする。
清音は馬に飛び乗ると兵の首をはねる。
もう1騎は護衛が取り囲み仕留める。
翌日、9日目の夕方、俺たちは予定より1日早く国府に着く。
国府は帝がいるだけあって大きな都市である。
漆喰の高さ5メートル位の瓦葺の城壁に立派な門がある。
人の出入りは多く、順番待ちの列ができている。
俺たちは列に並ばず門を通過しようとする。
すると門番が声をかける
「そこの者、待て。」
護衛が門番に怒鳴る
「無礼だぞ、菊姫様と知ってのことか。」
「いや、忌み人が…」
門番は言いよどむ。
「清音殿は護衛の剣士だ。」
「はっ。」
護衛のおかげで何事もなく門を通ることが出来る。




