6話 牛鬼の刀
離れにはいくつか部屋があり、俺と清音は同じ部屋である。
隣に菊の部屋があり、菊の部屋を取り囲むように護衛のへやがある。
俺と清音は午前中、剣術の訓練をして、午後はのんびり過ごす。
しかし、今回は菊たちがいるため、午後は清音は菊と話し、俺は護衛たちと剣術の稽古をする。
菊たちは帝のいる都、国府へ行くことになっている。
扶桑から国府まで10日かかる。
10日分の物資は宗七が用意している。
角倉が休みの日、俺と清音は町に出る。
俺は武具屋に行く、俺たちが店の中に入ると店主が
「角倉の守り人じゃないか、今度はお姫様を助けたって。」
「偶然ですよ。」
「今日は何をお求めで。」
「清音の刀と俺の小刀を買いに来ました。」
「素材は何にします。」
「牛鬼の角でお願いします。」
店主は刀身70センチくらいの刀を選ぶ、清音も気に入ったようだ。
俺には刀身15センチほどの刀を選ぶ
「明日にはしつらえますが、ご来店しますか。」
「角倉に届けてくれ。」
「分かりました。」
俺は金貨9枚を払う。
清音は俺に
「刀、自分で買えるよ。」
「俺が買いたいんだ、稼げるようになったら揃いの牛鬼の角の刀を買うって決めていたんだ。」
清音は赤くなる顔は仮面で隠していても耳が赤い。
そのまま町を歩いていると前からみのるが歩いてくる。
清音は俺の後ろに隠れる。
みのるが俺たちに声をかける
「官位持ちになったらしいな。」
「なったよ。」
「俺は官位9位だ、命令を聞いてもらうぞ。」
「何をするつもりだ。」
「清音をよこせ、一生こき使ってやる。」
俺は官位を示す金属の札を出す
「みのる、お前をこき使っていいんだよな。」
みのるは声が出ない。
茫然としている
「これは暑さに当てられたなー、誰かこいつに水をかけてやってくれ。」
みのるは商人に恨まれている。
何人かが集まり水をかける。
俺はみのるに言う
「もうかかわるな、次は切るぞ。」
みのるは答えない、根に持つタイプに違いない。
俺と清音は歩きながら話をする
「もう、みのるを恐れることはないよ。」
「そうね。」
「それよりこれからのが大変だ。」
「つなと会って、ずいぶん景色が変わったわ。」
これから俺と清音は貴族社会に入ってゆくことになる。
平民と忌み人上がりの俺たちはどんな偏見の目で見られるのだろうか。
翌日、刀が届く、清音は言う
「これで牛鬼と戦うことが出来るわ。」
「これまでは戦えなかったの。」
「牛鬼は固いわ赤鬼の刀では簡単に切れないのよ。」
「それなら、もっと強い相手の時は。」
「つながいるわ。」
「俺?」
「そのための魔法よ。」
どうも俺は生き残るために力の制御の訓練をしなければならないようだ。




