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4話 官7位と褒賞

 扶桑の門に行くと門番が慌てる。

 護衛が門番に言う

 「至急、領主に取次ぎを願いたい。」

門番が1人走っていく。

 俺と清音は菊に言う。

 「私たちはこれで失礼します。」

 「待て、そちらは我の護衛であろう。」

 「町に着きましたから。」

 「我にはそなたらに用があるのだ。」

菊は俺たちを解放する気はないようである。

 俺と清音は姫様一行として町の中に入る。

 途中、通りかかった人々が俺たちを見て

 「あれ、角倉の守り人じゃないか。」

 「今度は貴族の付き人をしているぞ。」

などと聞こえてくる、今度はどんな噂が流れるのだろうか。

 俺たちは領主の館に入る。

 清音をとがめる者はいない。

 館に入ると菊は牛車から降りる。

 菊は俺と清音に言う

 「我の後ろについていておくれ。」

 「分かりました。」

ここまで来たら言うとおりにするしかない。

 菊の右後ろに俺が着き、左後ろに清音が着く。

 護衛はその後ろに着く。

 菊は広間に案内されると上座に着く。

 待っていた領主は俺と清音を見ながら

 「これはどういうことですかな。」

 「道中、化け物に襲われて残ったのは護衛が3人だけです。」

 「姫にお怪我がなく何よりです。」

 「こちらの2人が助けてくれたのだ。」

 「それはお礼をせねばなりませんな。」

 「2人は我の護衛にした。」

 「そんな忌み人と平民をですか。」

 「我が決めたことだ。」

菊が言うが、領主の気は収まらないらしい

 「おい、お前たち角倉の守り人とか呼ばれて調子に乗るんじゃないぞ。」

 「領主様、村長からの証文を預かってきています。」

 「何だ、見せてみろ。」

俺は預かった封書を渡す。

 領主は証文を読むという

 「お前たち村を救ったのか。」

菊が嬉しそうに言う

 「お前たちほかにも功をなしたか、これは官位を与えねばな。」

 「姫様、忌み人に官位を与えた例はありません。」

 「知ったことではない、つなと清音に官位7位を与えるぞ。」

 「無茶です。」

 「我は今、命を狙われておる、つなと清音が能鬼師を倒した。」

 「本当ですか。」

 「われは本気だぞ。」

 「分かりました。」

領主は腹を据えたようだ。

 直ちに手続きが行われ

 俺と清音には官7位が与えられ、村を救ったことと菊を助けたことで金貨20枚がもらえる。

 俺たちは菊に角倉に用事があり、角倉に泊まることを伝えると菊も角倉に泊まると言い出す。

 そして、角倉に牛車で正面に乗り付ける。

 宗七が出てきて俺に言う

 「どうしたんですか。」

 「話は後で、菊姫が来ているんだ。」

 「いま、菊姫と聞こえましたが。」

 「そういったよ。」

菊姫が牛車から出てくる。

 店の者は平伏する。

 菊は宗七にいう

 「世話になるぞ。」

 「はっ、ごゆるりと。」

宗七は冷や汗をかいている。

菊には離れを使ってもらうことになる。

菊が俺たちから離れないのである。

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