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3話 村人の扱いがひどい

 夕方近くなり清音が俺に言う

 「そろそろ村へ帰ろう。」

 「村へ行くのか。」

 「そうだ、夜の森は危険だからな。」

俺は森で2晩過ごしているが黙っておくことにした。

 村の家はみんな茅葺の屋根になっている。

 清音は一番大きな家に行くと家主に挨拶する。

 家主は俺を見て

 「迷い人か。」

と一言だけ言うと清音に聞く

 「今日はどれだけ狩った。」

 「私が11匹、つなが5匹です。」

清音が答えると家主の俺を見る目が変わる。

 「充分狩ってくれた、明日の朝、出て行ってくれ。」

 「まだ残っているかもしれませんよ。」

 「忌み人に長くいられると困るんだ。」

家主はそういうと家の中に入っていく。

 清音は納屋に行く

 「忌み人とか言っていたけどなんだ。」

 「私のようなものを言う。」

 「分からないな。」

 「この髪と目の色がいけないんだ。」

 「どうして。」

 「災いを呼び込むとか言われて嫌われている。」

 「つなも私と一緒でなければ家に入れてもらえたのにな。」

忌み人はかなり嫌われているらしい。

 夜になると家の者に呼ばれる。

 どうもこの家は村長の家で庭で別れの(うたげ)をするらしい。

 酒宴(しゅえん)で人が集まっている。

 俺は清音と離れた村長の近くの席に座らされる。

 何か意図的なものを感じる。

 横の男は上機嫌で話しかけてくる

 「あんた一つ目を5匹も狩ったんだって。」

 「はい、清音は11匹狩ってますよ。」

 「忌み人のことなんかどうでもいいんだよ。」

 「はあ。」

俺は不愉快になる。

 「そうだ、あんたこの村に住まないか。」

 「明日ここを出ていきますので。」

 「出ていくのは忌み人だよ。」

 「あんたはここにいていいんだよ。」

俺は、この宴の意味が分かってきた。

 こいつらは俺を引き留めるつもりなのである。

 俺は理由をつけて酒宴の席を離れる、清音にひどい扱いをする村人を好きになれない。

 そして、家の門の前で時間をつぶす。

 しばらくすると清音が門に来る

 「村を出ていくつもりか。」

 「そうだ、つなはここにいろ、村人が良くしてくれる。」

 「一緒に行くと言ったろ。」

 「後悔するぞ。」

 「清音と別れた方が後悔するさ。」

俺たちは夜の村を後にする。

 そして、俺は村のはずれにある木の周りに陣を張る。

 清音は興味深そうに見ている。

 俺は清音に説明する

 「これは陣と言って化け物から守ってくれる、声を出さなければ化け物に感づかれない。」

 「それは便利なものね、襲われる心配なく寝られるわ。」

 俺と清音は木の上に登り夜を明かすことにする。

 深夜、木の下を10匹位の一つ目が村の方へ行くのが見えたが俺は無視をする。

 俺は村のことはどうでもよかったのだ。

 清音は気づかないようだ。

 明け方、村から一つ目が戻ってくる。

 油断しているのか

 「ぐげぐげ」

 「ぐぎゃ」

と鳴き声を上げている。

 清音は一つ目が木を通り過ぎた後、静かに木を降り、後ろから奇襲する。

 俺も柏手を打ち、一つ目を倒す。

 一つ目は、清音の奇襲に体制を整えることなく全滅する。

 清音が7匹、俺が2匹狩る。

 清音は俺に

 「こいつら、村の方から来たよね。」

 「ああ、深夜、こいつら村の方に行っていたよ。」

 「何で言わなかったの。」

 「清音に対する扱いが悪いから放っておいた。」

 「何てこと。」

清音が村へ行こうとするが俺が止める

 「逆恨みされるだけだぞ。」

 「でも・・・」

清音は言いよどむ。

 俺は、清音に村から離れることを主張する。

 俺たちはこのまま村を離れることにする。


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