1話 赤鬼の襲撃
俺と清音は村長が用意してくれた弁当で昼食を食べている。
俺たちの前を3台の牛車が扶桑の方へ通っていく。
牛車は3台とも人用で漆塗りに金箔で模様が描かれている。
護衛も20人が牛車の周りについている。
俺は清音に言う
「すごいな、金持ちかな。」
「身分の高い人がいると思うわ。」
清音が答える。
貴族なら俺たちに縁のない人たちだ。
俺たちは昼食後、剣術の練習をする。
すると地響きが聞こえてくる。
俺たちは地面にふせる。
赤鬼が5匹道沿いの林から飛び出してくる。
赤鬼たちは俺たちに目もくれず、道を牛車の行った方へ走っていく。
俺は清音に聞く
「赤鬼が5匹かどうする。」
「日中に赤鬼が動くのは不自然だわ、助けましょ。」
俺たちは赤鬼を追いかける。
赤鬼たちに追いついた時、牛車の一行は赤鬼に囲まれている。
そこには惨状が広がっている、道は血で赤く染まり、3台の牛車のうち前後の牛車は壊され、赤鬼が中にいる人を引きずり出して殺している。
真ん中の牛車は護衛が5、6人取り囲み守っているが時間の問題である。
赤鬼たちは俺たちが近づいても無視している。
俺は刀に力を乗せ刀身を伸ばし、後ろから赤鬼の胴を横一閃する。
清音は赤鬼の右足の腱を切り倒れたところを刀を心臓に刺す。
残り3匹のうち2匹が俺たちに向かってくる。
残りの1匹は残った牛車を襲う。
護衛が赤鬼に立ちはだかるが、赤鬼は護衛の1人を捕まえ握りつぶす。
残った者たちが赤鬼に切りかかるが蹴散らされる。
また1人赤鬼に叩き潰される。
俺は殴りかかってくる赤鬼を避けると刀の刀身を伸ばし、上段から切りつける。
刀は赤鬼の頭を割り、赤鬼は動きを止める。
清音は赤鬼の殴ってきた腕を足場に駆け上がり、両目を切りつける。
赤鬼は目が見えなくなり、暴れ回る。
彼女は赤鬼の右足を切り動きを止めると首を切り落とす。
清音は俺に
「後、1匹よ。」
と言い、赤鬼に迫る。
赤鬼の繰り出す左腕をかわしながらすれ違いざま胴を切りつける。
続けて俺が、赤鬼の心臓に刀を刺す。
生き残った護衛は、俺たちを傲然と見ている。
俺は彼らに声をかける
「大丈夫ですか。」
「ああ、助かったよ。」
護衛は3人残っているだけである。
俺と清音は倒した赤鬼の角を集める。
赤鬼の角は銀貨5枚になる、赤鬼5匹で金貨5枚だ。
赤鬼との戦いは、一歩間違えれば死ぬが見返りは大きい。
牛車の中の人物は護衛と何か話している。
そして、護衛が俺たちを呼びに来る
「姫様がお前たちと話をしたいとおしゃられている、来い。」
助けられて命令口調なのは気に入らないが、相手は貴族である。
俺たちは従い、牛車の所へ行く。
清音は牛車の前で膝まづく。
俺は立っていると護衛に
「貴様も膝まづかんか。」
と怒られる。
俺も膝まづく。
牛車の中から声が聞こえてくる。
若い女性の声である
「襲撃に会い、護衛も3人になってしまった。」
俺たちにもわかっている
「そなたたちは腕が立つ、扶桑まで護衛を頼めないか。」
「指示に従っていたたければ引き受けます。」
清音がいうと護衛がどなる
「忌み人が調子に乗るな、このお方を誰だと思っている。」
「やめよ、指示に従えばよいのじゃな。」
「はい。」
「なら、仮面を取って顔を見せてくれぬか。」
牛車の中の人物はとんでもないことを言い出す。
護衛もあわてて
「姫様、こやつは忌み人です、顔を見てはなりません。」
「これから命を預けるのだ、顔を見ておきたい。」
「ならあんたも牛車にこもってないで顔を見せろよ。」
俺は思わず口に出してしまう。
護衛が3人とも俺に向かってくる。
俺は問答無用で蹴り飛ばされる
「やめよ。」
牛車の中の人物が護衛に命令する。
そして、中から姿を現す。
それは意思の強さを感じさせる顔だちをした黒髪の美少女である。




