25話 官位辞退
役所から俺に官位を授与する話が出る。
盗賊を捕えた功によるものである。
しかし、清音には忌み人のため官位は授与できないそうである。
俺は、清音と一緒でないため官位を辞退する。
これは前代未聞の事態のため、町に話が広がる。
角倉が休みの日、俺と清音が街に出ていると、食事処の店主から声がかかる
「つなさんと清音さんだろ、うちに寄っていきなよ。」
「いいのですか。」
「ぜひ、おごらせてくれ。」
俺たちは店主の言葉に甘える。
店主は言う
「つなさん、清音さんのために官位断ったんだって。」
「はい。」
「あんたたちのこと気に入ったよ。」
「ありがとうございます。」
俺たちは礼を言う。
この後も町を回るが町の人の清音に対する対応が違っている。
清音は俺に
「町の人たち、親切になったわ。」
「俺も感じている。」
どうやら俺たちは町の有名人で人気があるらしい。
清音は、結局、扶桑の町の中で入ることができない店はなくなる。
角倉の護衛は冬の間に5回周囲の村に出かけた。
そのすべてで無事に仕事をこなした。
宗七の話によると冬の間は化け物たちは餌が少なくなり凶暴になるそうだ。
そのため、冬の荷物の搬送は危険になる。
今年は荷物を5回とも無事搬送出来て大助かりだそうだ。
春になり、俺たちは旅の準備を始める。
冬の間の荷物は角倉が預かってくれることになる。
俺と清音は、よろず仕事斡旋所へ行く、俺たちはどの仕事を受けるか迷う。
すでに俺たちは、赤鬼も余裕で倒せるほど腕を上げている。
しかし、久しぶりの仕事のため、町から近い所を選んだ。
清音は紙を取り、受付で依頼請負の手続きをする。
仕事の内容は、町から3日行ったところにある村で青鬼が3匹村を荒らすというものである。
俺たちは宗七に挨拶すると町を出る。
清音が俺に言う
「つなのおかげでよい冬を越せたわ。」
「清音のおかげだよ。」
清音は笑う。
彼女は仮面をつけているので笑顔が見られない。
仮面を取ってほしい、そうしたら俺の心の癒しになるのに。




