8話 鬼柳襲撃
鬼柳は戦場につなと清音が出てきたとの情報を得て動き出す。彼はすでに四宮の町に来ていた。
俺たちは館で、外の戦況を聞いている。門から伝令が逐一状況を報告してきている。
宗七が、先手を取られたのは驚いたが。すぐに第1部隊が鬼の部隊の突撃を止めたと報告がある。
俺たちはホッとする。俺たちがいなくても軍は実力を発揮している。
その時、館から一回り外側に張った陣に反応がある。
俺はみんなに
「館に近づいている奴がいる。」
と言うと弥次郎が
「何が近づいていますか。」
「分からないが人以外のものだ。」
みんなに緊張が走る。鬼柳なら気づかないうちに殺されかねないのだ。
俺と清音、弥次郎、千代音、達郎、美代が神経を研ぎ澄ます。
館の外側に張った陣に反応がある。
「館に入ったぞ。」
みんな刀を抜く。緊張は頂点に達する。
弥次郎と千代音が反応する。とっさに体を傾け刀で体をかばう。刀から火花が散る。
俺と美代は何もないところに力の刃を飛ばす。力の刃はいないはずのものを切る。
空間に血が噴き出る。そこに奴がいた。鬼柳は腕と腹から出血している。
「なぜ、お前たちがここにいる。」
鬼柳は言う。俺たちは鬼柳を睨み付けると同時に攻撃を仕掛ける。また姿を消されると厄介なのだ。
清音と達郎が左右から切りかかる。鬼柳は前に出てかわすと俺に迫る。俺は上段から袈裟切りにするが鬼柳は直前で右に方向を変える。
狙いは美代である。美代は姿勢を低くして鬼柳の刀をかわす。間一髪のきわどさである。
弥次郎が斜め後方から鬼柳に追いつき、刀を振るが、鬼柳は速度を上げてかわす。その鬼柳が肩から血を吹き出す。
達郎が力の刃を飛ばして切りつけたのだ。しかし、鬼柳は、傷口をすぐに消してしまう。
さらに俺と、千代音、美代が鬼柳に動きを読んで力の刃を飛ばす。鬼柳は2つを避けるが一つが胸に当たる。
力の刃は鬼柳の胸に深く傷をつける。多量の血を吹き出すが傷口はすぐに閉じる。
鬼柳が姿を消す。俺は勘で刀を胴に構えて鬼柳の斬撃を受ける。
「見えているのか。」
鬼柳は思わず声に出す。俺は鬼柳を追い詰めていることを確信する。




