3話 遷都構想
四宮では、商人に対する税を利益の4割から3割まで下げてきている。
このため四宮で商いを始める商人が増え、売買が盛んになり、金の流通量が多くなっている。
菊の収入は、税を軽くしているのに増えている。
宗七の計画では、商人に対する税を利益の2割まで下げることになる。
菊は宗七に言う
「改革は、宗七の計画通りですか。」
「いいえ、予想以上です。」
「増えた収入はどうしますか。」
「いずれ、国を動かす資金にしたいと思います。」
「そうですね。そのためには備える必要がありますね。」
「その通りです。今、街を拡張する計画を立てています。」
「今の町では手狭ですか。」
「まだ、余裕はありますが城を建てる敷地がありません。」
「城ですか。国府以外に立てることは認められていませんよ。」
「分かっております。つな様が帝位を受け継いだ時、四宮に遷都していただこうと思います。」
「国府を受け継ぐのではないのですか。」
「新しい時代を象徴するために遷都するのです。」
「国府の城はどうするのです。」
「現帝の居所とすればよいかと思います。」
「分かりました。用地の確保をお願いします。」
菊は宗七がどのくらい先を見ているのかと考える。
四宮は今では倭の一番大きな町になっている。
人口も倭の中で一番多い、それに比べて四宮の軍は1000人と定まられているため小さく感じる。
しかし、兵の強さがそれを埋めている。
さらに宗七は予備軍500を作っている。
予備軍をしているが兵の熟練度、装備とも正規軍に劣っていない。
そして、菊が町の拡張を認めたため、早々に工事が始まる。
影平が宗七に言う
「工事を急ぎ過ぎていませんか。」
「今のうちに土木工事の職人を集めておきたいのです。」
「どうしてですか。」
「佐山の軍が直接、四宮を襲うかもしれません。」
「そんなことが起こり得ますか。」
「佐山は、大治を攻めましたが1万もの軍勢でした。おそらく、領地から徴兵したのでしょう。」
「そんなことをしたら領地を保てなくなります。」
「そうです。今、佐山は人がいなくなり、疲弊しているでしょう。」
「鬼柳らしくありませんね。」
「鬼柳は、大治の戦いを必勝の形で挑んだのです。」
「大治が落ちていれば、今頃倭と奴国は戦争状態です。」
「その戦争に勝てば、鬼柳は、奴国のみならず倭も手に入れることが出来たのです。」
「しかし、負けたのですね。」
「鬼柳は佐山を捨てるでしょう。」
「ならば、佐山の軍は動かないでしょう。」
「鬼柳は、つな様に遺恨があります。このままでは終わらないでしょう。」
「佐山を去る前に軍を使い捨てるのですか。」
「はい、襲撃の際に鬼柳が動くと考えます。」
「四宮の防衛線を作るために土木職人を集めるのですね。」
「予防策の一つとして考えています。」
宗七と影平はあるかもしれない佐山の軍の襲来について方策を考える。




