8話 館の侵入者
菊は俺に聞く
「華妖仙のことどう思いますか。」
「鬼柳の仲間だと思っています。」
「証拠はないのですね。」
「はい、異様な気配がするだけです。」
「華妖仙は狡猾かもしれません。機会があれば切ってください。」
「愁いを排除するのですね。」
「そうです。」
菊は華妖仙を危険だと考えているらしい。
この日の夜、使用人の手引きで華妖仙は裏口からこっそり入って来る。
彼女は気配を殺しているため、俺は気づけずにいる。
彼女は寝所で使用人たちと話をする。
彼女は気取られないようにしているが、使用人たちはそうはいかない。
騒がしさに影平が注意に行く。
影平は、使用人たちに
「うるさいぞ、なにを・・・」
影平は華妖仙に見とれる。
華妖仙は影平に言う
「申し訳ございません。なにとぞご内密におねがいします。」
「ああ。」
影平はそのまま立ち去る。
宗七が影平とすれ違うが、宗七はとっさに声をかける
「影平殿、どうしました。」
「いや、何でもない。」
宗七は影平の様子を不審に思う。
使用人たちの寝所が騒がしい。
宗七が向かうと弥次郎と達郎がいる。
弥次郎と達郎は、宗七を寝所から離れたところに連れて行くと訳を話す
「華妖仙が来ています。」
「なんてことです。」
「影平様が華妖仙にやられました。」
「見るだけでだめになりますか。」
「そういうことです。」
「ここは、清音様と千代音さん、美代に対処してもらいましょう。」
「俺たちは華妖仙に気づかれないように集まる。」
菊は言う
「この機会に華妖仙を切り殺してください。」
「はっ。」
清音、千代音、美代が使用人の寝所に向かう。
３人は抜刀して部屋に入る。
その瞬間、華妖仙は使用人を３人に向かって投げ、逃げ出す。
逃げ出した先には、俺がいる。
華妖仙は土下座して
「命ばかりはお助けください。」
と命乞いする。
俺は、殺すことが出来ず、縛り上げる。
追いついた清音、千代音、美代が華妖仙を庭に引っ立てる。
清音は俺に言う
「何をやっているの。」
俺に返す言葉はない。
清音が華妖仙に言う
「何の目的で入ってきた。」
「皆さんと話をするためです。」
清音は刀を華妖仙の右腕に刺す
「きゃああぁぁー」
叫び声が上がる。
それを見た使用人たちが怒り出す
「はなさんに何てことするんだ。」
使用人たちは清音に向かってくる。
清音、千代音、美代は、使用人に当て身をして黙らせる。
そこに影平が来る
「今日は遅いです。牢に閉じ込めて明日、聞き出しましょう。」
彼はそういうと華妖仙を立たせ連れていく。
すると華妖仙の両足が切れる。
美代が力に刃で切ったのだ。
影平が激高する
「何をするんだ。」
「影平殿、あなたは華妖仙に魅了されています。」
宗七が言う。
「わ、私は・・・」
影平が頭を抱える。
華妖仙は、縛り上げていたひもを引きちぎると両足を傷口に合わせる。
するとすぐにつく。
美代が力の刃を放つが転がって避ける。
華妖仙は、屋根に飛び上がると
「この雌ども、この借りは返すからな。」
と言う。
その彼女の胸に刀が生える。
弥次郎が後ろから刀で刺したのだ。
彼女は屋根から庭に落ちる。
彼女は両腕両足を切り落とされ捕らえられる。
