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23話 清音、昔の男に会う

 俺と清音は角倉の護衛となり冬を過ごしている。

 午前中は清音と剣術の訓練をして午後はのんびりと過ごすのが日課となっている。

 この世界では平民と貴族に分かれている。

 貴族は主に領地をもって税を収入源としているので、領地の管理が仕事になる。

 身分としては10段階の官位からなっており、官位10位は、平民でも功をなした者に与えられることが多い。

 身分証は木札ではなく金属の札でできている。

 貴族は官5位から上の位になる。

 そして、官位1位は王族と一部の貴族のみが持っている。

 また領地を持たない貴族や新しく平民から官位を得た者は官吏になることが多い。

 また角倉宗七も官位8位を持っているが商人をしている。

 週に1日は角倉が休みになるので、俺たちは町に出る。

 清音は町に詳しかった。

 1か月ほどすると隣の村まで物資を届けに行くことになり、護衛としてついていく。

 まだ雪は積もっていない。

 途中、野営を1泊するので陣を張り牛車の中で夜を過ごす。

 隣村に着くと荷物を渡し、代金をもらって、帰路に就く。

 町に戻り、町の中を歩いていると突然、清音が牛車の中に隠れる。

 俺はその場を平静を装ってやり過ごす。

 角倉に着いてから、俺は清音に聞く

 「さっきはどうしたの。」

 「つなの前に一緒にいた迷い人がいたの。」

 「清音を捨てたやつか。」

 「そうよ、みのると言うの。」

 「教えてくれたら殴ったのに。」

 「やめて官位を持っているわ。」

 「どうして隠れたの。」

 「会いたくないの。」

清音には事情がありそうだったが聞くのはやめた。

 必要なら話してくれるだろう。

 次の休みの日、俺たちは町に出る。

 するとうしろから声がかかる

 「やっぱり、清音じゃないか。」

振り向くと男が1人いる

 「みのる。」

清音は俺の後ろに隠れる。

 「傷つくなー、なんで男の後ろに隠れる。」

 「会いたくないわ。」

 「こっちへ来い。」

みのるは清音の手を引っ張る。

 「嫌がっているだろ。」

俺が言うとみのるは

 「平民は黙っていろ、ちょっと借りるだけだ、用が済んだら返してやるよ。」

みのるは強引に清音を引っ張っていく。

 俺の我慢は限界だった。

 俺はみのるを殴りつける、さらに股間を蹴り上げた。

 みのるはうずくまり

 「覚えていろよ、お前たちが角倉にいることは分かっているからな。」

俺はみのるを睨みつけ、清音を連れて立ち去る。

 俺たちは角倉に帰ると宗七に今日あったことを話す。

 彼は俺に

 「つなさんよくやってくれました。」

 「良かったんですか。」

 「みのると言う男は商人の間で嫌われています。」

 「でも店に来たら迷惑でしょう。」

 「いいえ、奴は官位10位です、私は8位ですから問題ありません。」

俺は清音に聞く

 「みのるは清音にこだわっていたけどあれは何。」

 「彼は私の体を狙っているんです、一緒に旅をするときも襲われそうになったことがありました。」

 「それは一緒に水浴びしたり、風呂に入ったせいではないの。」

 「そんなこと、していません。」

 「えっ。」

俺は驚き、宗七が聞く

 「つなさんと清音さんは一緒に風呂に入っているんですか。」

 「はい。」

宗七が説明する

 「普通、女の人は他の男に肌を見せません、見せるのは夫婦かそれに近い間柄だけです。」

 「ええっ。」

俺は再び驚く、俺たちはバカップルを演じていたのか。

 清音が宗七に言う

 「つなは迷い人だからこの世界の常識を知らないの。」

 「そうでしたか、陣と言う不思議な技についても納得がいきます。」

そうすると清音は俺のことが好きと言うことになる。

 俺は相思相愛バンザイと思う。

 翌日、角倉にみのるがやってくる、宗七が手ぐすねを引いているとも知らず。

 みのるは店で叫ぶ

 「清音を出せ、店をつぶすぞ。」

 「誰にものを言っている、役所の証文はどうした。」

みのるは官位の金属の札を出すが、宗七は官位8位の札を出す。

 宗七は店の者に言う

 「こいつをつまみ出せ。」

みのるは店の外に放り出され、水をかけられる。

 店の周りにはみのるを嫌う商人が集まり笑ってみている。


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