2話 四宮への帰還
俺たち四宮の軍は、用件が済むと直ちに国府の城を出発する。
官位の証は、出来たら四宮へ送ってもらえるように手筈をつける。
四宮の軍が急ぐのは、四宮を守る軍がいないためである。
予備軍を作っているがあくまで予備で正規の軍ではないのである。
四宮の軍は、倭で1000人と定められているのである。
勝手に兵力を増やすことはできない。
そこで、宗七は欠員補充のために予備軍を作ったのだ。
宗七は俺たちに夜間も行軍して、止まるのは寝るときと休憩の時だけと指示する。
そして、扶桑には寄らずに進む。
俺は、宗七に言う
「ちょっとやりすぎではありませんか。」
「私がまだ大丈夫ですから、良いでしょう。」
確かに、軍の中で体力がないのは宗七である。
だが、彼に倒れられては困るのである。
「宗七さん、無理はだめですよ。」
「分かっています。睡眠は十分にとっています。」
宗七は、行軍のスピードを緩めない。
軍は、国府から四宮まで9日間で行く。
途中、化け物に会うが、すべて化け物の方が不幸になる。
四宮に軍が着くと町の人々に歓迎される。
軍の大治での活躍はすでに四宮まで届いている。
俺たちは館まで行軍するが、1000人近い兵が入れるほど館は広くない。
宗七と影平が話し合う。
軍は、門の外の訓練場に集合することになる。
菊は、牛車で訓練場に向かう。
訓練場には1000人近い兵が整列している。
菊は到着すると牛車を降りて、兵たちの前に立つ
「皆さん、ごくろうさまです。四宮の軍は、その名をとどろかせる働きをしたと聞いています。あなた方は私の誇りです。」
兵が一斉に片膝をつく。
菊は続ける。
「今日は、酒と食事を用意させます。存分に英気を養ってください。」
「おーっ」
地面を揺らす歓声が起きる。
この後、兵たちは兵舎に戻り宴が始まる。
俺たちは館に戻る。
菊の前に俺たちは正座する。
菊は宗七に言う
「四宮の軍だけで戦を終わらせたそうですね。見事な采配です。」
「四宮の軍だけでの働きではありませんが、わが軍の力で勝敗を決したと考えています。」
次に菊は俺と清音に言う
「第1部隊と第2部隊の指揮、ご苦労様です。活躍は聞いていますよ。」
「ありがとうございます。」
菊は、弥次郎、千代音、達郎、美代に言う
「危険な任務ご苦労様です。見事に敵を陥れることが出来ましたね。」
弥次郎が代表して言う
「私たちに向いている任務でした。宗七さんは人を使うのがうまいですよ。」
「あなたは官4位なのですから貴族らしくしてくださいね。」
「はい、影平先生に習っているところです。」
影平は、苦虫を嚙み潰したような顔になる。
影平は、弥次郎、千代音、達郎、美代を貴族にふさわしいように教育をしているが、4人に悩ませ続けられているのである。
菊の元には、勝成から軍派遣の礼の書状と金貨1000枚が送られてきている。
菊は、金貨を兵たちに褒賞として配ることにする。




