12話 戦の処理
帝の元に勝成からの書簡が届く。
倭が奴国に勝利したとの報告である。
帝は、貴族たちの前で倭の勝利を宣言する。
貴族たちから安堵の声が上がる。
次に貴族から発言がある
「今こそ奴国を討つべし。」
「そうだ、今の勢いで迫るべきです。」
九条正親が発言する
「お待ちください。」
帝が正親に発言を求める
「正親、意見を聞こう。」
「はい。このまま攻め込めば泥沼の戦になります。」
「九条殿、弱腰ではないか。」
貴族から声が上がる
「民を苦しめることはできません。軍を動かすのにどれだけの力を使うかお分かりか。」
貴族たちは黙り込む。
帝が発言する
「奴国には何もしないのか。」
「使者を使わして、賠償金を請求してはどうでしょう。」
「分かった。そなたに任せよう。」
「はい。」
奴国への進軍は却下される。
そして、翔馬の軍、頼之の軍、四宮の軍は国府に召喚される。
俺たちは、隠れていた馬車に四宮へ帰ってもらう。
馬車は秘密兵器なのである。
翔馬の軍、頼之の軍、四宮の軍は、大治を出発する。
俺たちは町の人に見送られて歩いていく。
俺たちの旅は2週間続くが、化け物たちは襲ってこない。
2000人位いるのである。
化け物も避けるようだ。
国府の門をくぐると町の人々に歓迎される。
勝利の凱旋である。
大通りをまっすぐ歩いて外門に突き当たると門が開く。
兵たちは中に入ると整列する。
帝が正虎と勝時を従えて出てくる。
俺は帝が中門を出るのをはじめてみる。
帝はみんなに言う
「兵たちよ、そなたらの働きで倭は守られた礼を言う。」
兵たちが一斉に頭を下げる。
帝は中門に入って行く。
翔馬と頼之、俺たち6人と宗七は帝に呼ばれる。
俺たち9人は帝の謁見の部屋に入ると部屋の中央に正座する。
一段高いところに帝が座り正虎と勝時が後ろに控える。
左右には貴族が並んでいる。
帝が言う
「日野翔馬、官4位として兵3000人の将とする。」
「ありがたき、幸せ。」
「九条頼之、官4位として兵3000人の将とする。」
「はっ。」
翔馬と頼之はありがたく従う。
さらに帝は続ける
「宗七、官4位とする。」
「ありがたく、お受けします。」
「達郎と美代、官5位とする。」
「はい。」
「弥次郎と千代音、官4位とする。」
「はい。」
「つなと清音、官2位とする。」
「はい。」
貴族からざわめきが起こる。
成り上がりの魔法剣士と忌み人が官2位になったのだ。
納得のいかない者も多いのだろう。
「四宮の者には、加えて報奨金を与える。」
「はい。」
帝は四宮の軍の働きを高く評価している。
また、戦死した四條忠正の罪は不問とされる。
九条正親は、奴国の大治への攻撃に対して金貨5000枚の賠償を求める書簡を使者に持たせ送り出す。
奴国の王は、賠償の支払いを約束する。
王は、佐山の動きを知らなかったようだ。




