8話 第3部隊到着
6日目の朝が来る。
明るくなるが、佐山の陣からは敵兵が出てこない。
翔馬の軍と頼之の軍は町の南側に隠れている。
佐山の軍が出てくれば、応戦することになるが、敵に動きはない。
孟鬼は、大治の軍の動きを警戒して動けずにいる。
昨日の奇襲が、孟鬼を縛っているのである。
副将が孟鬼に上申する
「今、全軍をもって向かうべきです。」
「何を言っている。」
「昨日の動きは、我々に対するけん制です。」
「全軍を動かして、本陣を襲われたらどうするつもりだ。」
「私の首を捧げます。」
「おまえの首など何になる。」
副将はこれ以上言っても無駄だと諦める。
孟鬼はイラつくばかりで頭が回らなくなっている。
夕方になり、翔馬と頼之は軍を連れて町に戻ってくる。
勝成は俺たちと翔馬、頼之を集める。
彼は俺たちに言う
「どうして佐山の軍は動かなかったのでしょう。」
「本陣に攻め込まれたことで、容易に軍を動かせなくなっています。」
俺が答える。
翔馬が言う
「それなら今のうちに手を打ちましょう。」
「待ってください。明日、第3部隊が到着するはずです。」
「第3部隊には何があるのですか。」
「四宮の軍師がおります。」
「何か作戦があるのですか。」
「その通りです。」
「どのようなものですか。」
「今は分かりません。」
「分からないものを待つのですか。」
「俺たちは軍師の指示通りに動いています。」
「分かりました。明日も今日と同じように動きます。」
「お願いします。」
佐山の軍が明日動かない保証はないのだ、翔馬の判断は当然と言える。
7日目の朝が来る。
佐山の陣は動かない。
1日、大治の守備とにらみ合いを続ける。
夕方、第3部隊が到着する。
俺は第3部隊が普通に行軍すればあと3,4日かかると考えて、宗七に質問する
「どうやって、この短時間に到着できたのですか。」
「夜間も行軍してきました。」
「そんなことをしたのですか。」
普通、夜は化け物が出るため、動かないのがこの世界の常識である。
「いけないことはないですよ。第3部隊は化け物と対峙する力がありますから。」
宗七は当然のように答える。
勝成がやってくる
「軍師殿はいますか。」
「私がそうです。宗七と言います。」
「宗七殿には策があるのですか。」
「明日、佐山の軍を蹴散らして御覧に入れます。」
宗七は言い切る。
勝成は、宗七に聞く
「我々はどうすればよいですか。」
「私たちは明日、夜明けと同時に佐山の陣を北から攻撃します。」
「我々は南に逃げ出した兵を攻撃すればよいのですね。」
「はい、佐山の軍は混乱するでしょう。お好きに料理してください。」
宗七の言葉に俺は言う
「俺たちは夜のうちに佐山の陣の北側に回り込むのですね。」
「はい、弥次郎さんたちには、別に指示があります。」
宗七は弥次郎たち4人に指示を出す。




