6話 精鋭の援軍
5日目の朝が来る。
大治の軍は、すでに配置についているが翔馬の軍は町の中に待機している。
明るくなると佐山の陣から太鼓を打ち鳴らす音が聞こえる。
そして、雑鬼の軍と火鬼の軍が出てくる。
2つの軍は、まっすぐ町に向かっている。
その軍に東から200ほどの部隊が向かっていく。
勝成にも翔馬にもどこの部隊かわからない。
俺たちは、馬車のおかげで予定より早く到着する。
馬車を見せるわけにいかないので馬車を置き、夜明け前に歩いて大治に向かい明るくなるころ町が見えるところに着いたのだ。
すると太鼓を打ち鳴らす音が聞こえ、1000ほどの軍が2つ町に向かうところが見えた。
俺と清音は、第1部隊と第2部隊の初陣にちょうど良いと迎撃に向かったのだ。
俺は数が多い方へ向かう、俺と隊長の史郎が敵に力の刃を飛ばす。
2人で200人くらいを切り飛ばすが、軍の足を止めるのに十分である。
副隊長の辰吉が軍の指揮官らしき者に向かっていく。
俺と史郎は、魚鱗の陣形を指示して部隊を軍の残りに向かわせる。
辰吉は指揮官と切り結び始める。
俺と史郎は、サポートに回る。
辰吉は、指揮官の隙をついて突きを入れる。
司令官が名乗る
「俺は火鬼。お前は何者だ。」
「俺は副隊長の辰吉。」
「副隊長だと隊長と立ち会わせろ。」
「おまえは俺の獲物だ。」
「抜かせ。」
火鬼の腕は悪くないが辰吉の敵ではない。
辰吉は再び隙をついて火鬼の胴を切る。
火鬼は血を吐く。
辰吉は火鬼の右腕を切り飛ばし、首をはねる。
辰吉は、火鬼の首を掲げ
「大将火鬼の首を取ったぞー」
と叫ぶ。
部隊は残りの軍と戦っているが一方的な蹂躙が行われている。
相手が弱すぎるのである。
清音は、第2部隊を率いて数が少ない方へ向かう。
彼女は横陣形を指示して敵軍にぶつかると
「蹂躙しろ。」
と命じる。
雑鬼が清音の後ろから切りかかる。
清音は後ろに目があるように振り向きざま剣を受ける。
清音は雑鬼に言う
「おまえ、弱いが指揮官か?」
「そうだ雑鬼だ。お前は。」
清音は、質問を無視して隊長の辰二郎に言う
「大将の雑鬼だ。お前が首を取れ。」
「分かりました。」
辰二郎は雑鬼に言う
「首、もらいますよ。」
「ばかにするなー」
雑鬼は辰二郎に向かっていく。
しかし、雑鬼は辰二郎の動きに対応できない。
彼は剣を受けることもできず袈裟切りにされる。
それでも向かっていくが、次の瞬間、首を刀が走る。
辰二郎は、雑鬼の首を掲げ
「大将の首、討ち取ったりー」
と叫ぶ。
雑鬼の軍は第2部隊にまったく歯が立たない。
間もなく戦いは終了する。
俺と清音は第1部隊と第2部隊を引き連れて大治へ向かう。
近づくと兵が警戒して聞いてくる
「援軍とお見受けするが、どなたかお教え願いたい。」
「熊野つなと清音が援軍に駆け付けた。」
と俺が答える。
すると
「おーっ」
「ばんざーい。」
などと歓声が上がる。
俺たちが町に入ると勝成が会いに来る
「つな殿、清音殿、ありがとうございます。」
「あなた方がうわさのつな殿、清音殿ですか。私は日野翔馬と言います。」
「うわさとは何でしょう。」
「2人が来れば、戦局が変わると聞いたのです。」
「そうでしたか、精鋭を連れて来ていますので十分戦えます。」
勝成が聞く
「弥次郎殿、千代音殿、達郎殿、美代殿はどうしましたか。」
「今頃、佐山の陣にいると思います。」
「4人でですか。」
「はい。」
勝成は驚かなかったが翔馬は驚く。
佐山の陣には、まだ数千の敵兵がいるのだ。




