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4話 翔馬の作戦

 佐山の陣では孟鬼の前に雑鬼が片膝をつき(こうべ)を垂れている。

 孟鬼は雑鬼に言う

 「敵を蹴散らすのではなかったのか。」

 「はい、申し訳ございません。」

 「なんだあの戦は。」

 「私が敵の大将を見誤りました。もう一度機会をお願いします。」

 「兵が負傷しておる。休ませよ。」

 「・・・」

雑鬼は動かない。

 火鬼が孟鬼に言う

 「私にお任せください。」

 「分かった失敗は許さんぞ。」

 「はい。」

火鬼は、明日の出陣の用意を始める。


 3日目の朝が来る。

 夜明けには大治の軍は配置についている。

 明るくなると佐山の陣から太鼓を打ち鳴らす音がして兵1000人の部隊が縦陣形で出てくる。

 今日、翔馬の軍は町の南側にいて姿を隠している。

 火鬼の軍は大治の柵の防衛線から100メートル位の所で止まる。

 しかし例の軍は出てこない。

 火鬼は1人、前に進み出ていく。

 彼は防衛線から50メートル位の所で止まると大声で言う

 「昨日の勇敢な部隊と決着をつけたい。」

しかし返答はない。

 火鬼は、例の部隊は町の南側にいるに違いないと考える。

 彼は部隊を時計周りに移動を開始する。

 そして、町の南側に行くが部隊はいない。

 火鬼は、また時計回りに移動して街の北側に来る。

 翔馬の軍は、大治を守護する兵たちが伝令して、火鬼の軍の動きを知らせているので。常に火鬼の軍の反対側に身を隠している。

 佐山も陣から戦況を見ている孟鬼は

 「何をかくれんぼをしている。」

と怒り出す。

 3日目は戦のないまま夕方を迎える。

 翔馬の軍と大治の軍は警戒の兵を残して門の中に入る。

 勝成が翔馬を出迎える

 「戦わずして時を稼ぐとは見事ですぞ。」

 「明日はこの手は使えません。」

 「どうするのですか。」

 「逃げます。」

 「戦わないのですか。」

 「町を守るためです。」

翔馬はこれから厳しくなると覚悟する。


 佐山の陣では孟鬼がいら立ちを見せている。

 雑鬼と火鬼は、孟鬼の前で正座している。

 「おまえたち2人で何とかしろ。」

 「はい、決着をつけます。」

雑鬼と火鬼は、これ以上の失態は自分たちの身が危ないと感じる。

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