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2話 早雲の情報

 菊から書簡を受け取った植松良房は、大治からの密偵の情報を見る。

 しかし、物流に関する情報はない。

 せいぜい奴国が食料を必要としているというだけである。

 良房は、大治にいる密偵に奴国の商人の扱う商品を報告するように指示を出す。

 角倉の番頭は、大治に行く者に俵屋に頼んで木戸屋早雲に会い、佐山に運ばれる物資を聞くように指示する。

 大治の領主氏原勝成が菊姫からの書簡を受け取る。

 勝成は書簡を読んで、国境の警戒を厳重にする。

 そして、町の食料の備蓄を増やす。

 さらに佐山の同行を知るために密偵を佐山に向かわせる。

 密偵は、誰一人戻ってこない。

 勝成は、次に奴国との取引を認めている、俵屋たち4人の商人を館に呼ぶ。

 食事をしながら勝成は、商人に話しかける

 「奴国との交易はうまくいっていますか。」

 「はい、盛んに行っています。」

 「最近、奴国に送る品に変化はありますか。」

 「相変わらず食料が多いです。」

 「入って来る織物の質はどうですか。」

 「品質に変化はありません。」

 「そうですか。」

勝成は物資の流通に変化がないことから、すぐに佐山が動くことはないと考える。

 俵屋の壮吉が話を続ける

 「そういえば、鉄をわずかですが送っています。」

 「それは、最近ですか。」

 「ここ、2週間前からです。」

 「鉄は、どのくらいですか。」

 「1回に俵3つです。」

 「毎日ですか。」

 「週に1回です。」

 「わずかな量ですね。」

 「そうですが奴国国内からも集めているとすれば、かなりの量になります。」

 「そうですね。」

勝成は考え込む。

 「氏原様は、佐山が戦を仕掛けると思っているのですか。」

 「大治は国境の町です。常に用心が必要です。」

壮吉の問いに勝成は答える。

 勝成は菊に書簡で佐山に送った密偵が戻らないこと奴国にわずかながら鉄が流れ始めていることを知らせる。

 壮吉は、角倉の頼みで木戸屋早雲との話の場を設ける。

 角倉の使いの者は、早雲に聞く

 「最近、佐山に集まっている物資はありますか。」

 「私は佐山と取引していませんが、鉄と鬼の角が運び込まれているようです。」

早雲の答えに壮吉と角倉の使いは驚く。

 鬼の角は、刀や槍の材料である。

 佐山は軍備を増強しているのだ。

 角倉の使いは、情報を書いた書状を早馬で送る。

 壮吉は勝成に会いに行く。

 勝成は俵屋が来たことに嫌な予感がして、すぐに会うことにする。

 壮吉は勝成に言う

 「氏原様、大変です。」

 「どうした。」

 「佐山は、鉄と鬼の角を運び込んでいます。」

 「本当か。」

 「はい、奴国の商人から聞いたのです。」

 「俵屋、よく教えてくれた。だが、騒ぎ立てるんじゃないぞ。」

 「分かっています。」

勝成は、佐山が戦の準備をしていると確信する。

 彼は、帝と菊に現状を書簡で送る。


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